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2020年04月17日07:34

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なんでマネージャーを引き受けたのか!

■なんでマネージャーを引き受けたのか!

1990年に日本で自転車の世界選手権が開催された。その3年前に日本のトップ選手たちに、日本サイクルスポーツセンターのロッジに呼び出された。プロ車連のボスからプロロード選手に転向しないかと声をかけられているという。そのチームの運営をマネージメントしてくれないかと依頼されたのだ。

ところがこっちはただのフリーランスの雑誌記者だ。ロードレースの取材はしていたけど、ヨーロッパのプロのロードレースは、ミロワールドシクリズムやガゼッタデロスポルトや、時々放映される地上波のツールの放送くらいしか知らなかった。

何をどうすればいいのかもわからない素人だった。プロチームを運営できる船頭さんというような知識もない。海に無事に向かっているのか、山へ向かって移動して座礁してしまうのかもわからない有様だった。

問題点を書き出して、できそうなことから片っ端から取り組んだ。親父のコネクションで広告代理店のスタッフとのルートを作り。当面面倒を見るというプロ車連のボスや事務方の理事との条件の話し合い。日本人選手の弱点やストロングポイントの把握と強化方法を考えて企画書を作って。プロ車連やスポンサーに持ち込んで交渉した。
アマ車連にもプロの走る場所を作って欲しいと、アマ車連の資金源の威光や、通産省のお役人の威光を借りて迫って実現したりの活動をしていた。

ヨーロッパでの活動拠点作り、選手や機材の移動手段のリースや買取による確保。レースオーガナイザーとの交渉で走れるレースの確保。寝る間もなく活動開始の期限までに走り回った。UCI のプロチーム登録をジュネーブにして、登録料を払い込み、選手を登録しないとプロのレースを走れないことを、アマ車連もプロ車連のスタッフも選手も知らなかったのだ。

アマチュア選手は、国際ライセンスで海外で走れるが、プロは国際ライセンスで走れるのは世界選手権だけだったから、海外プロロードチームに所属して走っていた市川選手は、所属チームがUCIへ登録していたので、日本の競技団体はライセンスのシステムを把握できていなかったのだ。

引き受けたものの、あまりにも把握できていないことだらけ、当面の活動の費用も自前ときているのだから、プロジェクトがスタートしてからも迷っていた。そんな時にアマンダスポーツの千葉さんが、当時の日本人選手のトップを、私費で自転車留学させて、ヨーロッパで走らせていたのを思い出した。千葉さんの奥様の名前がチーム名だった。手作り工房がサポートしていたのだ。

そういう意味でも千葉さんの姿勢に刺激された。話を聞いた。電通やアサツーのスタッフと一緒に、88社のスポンサー周りをして、90年には日本で世界選が開催されること、相手先のスタッフや役員が知っているツールドフランスで、日本人を走らせたいの一点張りで夢を語って、日本人選手の実力から考えて、ほとんど成績も見返りもないだろうに、1億円近い活動資金を契約していたので、千葉さん以上の仕事をしてこようと覚悟した。

そこからのヨーロッパや国内でのプロチームのレース活動は、戦場の野戦病院みたいな状態で、次々の大小の問題が発生して、スタッフと毎日やることリストを作って、トリアージュするように物事に取り掛かる順番を決めて、エネルギーを使って自分たちで解決していかないと、ちっとも前へ進まない。

初めてのことだから、外から見ている人には現場のことはわからないことだらけで、ボトルやサコッシュ1つの渡し方もヨーロッパのレースと日本の常識は違う、ヨーロッパでは、選手が踏まないでもスピードを維持できる区間が補給ポイントに選ばれる。集団走行の向こう側で手を挙げて補給を欲しがっている選手には、危険なので渡すべきじゃないのだ。

集団で走っている選手の目の前をサポートスタッフがサコッシュを持って横切って渡しに行けとうのか。リアルなレースを経験していないとつい現実身のないことでも、感情的に発言したり後先考えずに行動してしまうんでしょうね、ツールやジロの上り区間で観客が道路の両側に並んで、選手を後押したり、一緒に並んで走ったりなイメージが強いんだろうな。

「渡してやれよ〜」という観客のヤジを無視して、選手が補給食やボトルを欲しいなら、気が付いて次の周回でサポートスタッフ側を脚を使ってでも走ってくれば、同じ場に立っていて渡せばいいのだ。選手が欲しがったら補給区間でなくても罰金覚悟でサポートカーから補給を渡すことだって可能なのだ。タイムペナルティではないのだからいいのだ。口をいくら挟まれても、自分たちがヨーロッパのプロレースで学んできたことを信じて頑張るしかない。

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