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2020年04月02日00:11

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これじゃ手の施しようがない!

■これじゃ手の施しようがない!

あるトライアスリートからポジションのチェックを依頼された。日本のトップ10に入る力を維持しているが、トップ3に入れる才能があってもなかなか開花できないでいる。前にトライアスロンはインテリジェントスポーツと言ったことがある。

この選手のケースも多分それなのだとわかっているけど、プロ選手やサポートを受けている選手にはコーチや監督がいるので、選手のサポートを行っているので口を出しにくいし、ましてやチームのトレーニング環境へ口出しもしにくい。

その選手はバイクのポジションがマッチしないと感じていて、すでに迷い道にはまっていて、助けを求めて来たのだ。もう、自分の体格や走っている環境にどう合わせていけばいいのか、全くわからなくなってナーバスになっていて、ただただマッチしないと訴えていた。

トレーニングの環境を聞き出して、バイクのトレーニングを一緒にやっている選手のプロフィールを聞き出した。日本のトップの男子選手と一緒に走ってグループライドしているという。その選手のドラフティングレースでの40kmの走行の最高タイムを聞いた。

51、5kmのトライアスロンは、スイム1、5km、バイク40km、ラン10kmとなっている。男子選手のトップ選手は、スイム16分台から18分、オープンウォーターなのでかなり差があるが、時速3km台のスピードなので、トップ選手クラスは1分差いないで上がってくる。

バイクは平均時速が平坦コースで45kmくらいだ。周回コースでアップダウンのあるコース設定もあるので、50分前後でフィニッシュする。ランは気温が低いと29分台のタイムがレース中に出ているトップアスリートは、Km3分前後で走れると見ていい。

日本のトップアスリートは世界選手権で10位から30位くらいに入ってきて、世界チャンピオンから2分から3分落ちというところだ。女子選手の力を比較して見よう。スイム18分から19分で日本のトップ選手と一緒にフィニッシュしている。

バイクは得意種目で平坦コースを時速41km平均で走れて1時間を切る。女子選手としては速い方だ。ランは10kmを36分から38分台で走り、ランでズルズル後退して10位以内キープに終わっている。

では、男子選手と一緒にバイクトレーニングするとどうなるか。グループライドでもがきあっているとすれば、時速45kmと41kmとの差は4kmだから、ドラフティングして付いていけば、10%の空気抵抗の軽減を考えられるので、4km差なら全力で走れば付いて走れるのだ。

グループライドにピッタリ付いて走れば女子選手は全力の状態で一緒に走ることは可能なのだ。しかし、実際の公道の走りではどうだろう。男子選手とはパワーがかなり違うので、加速したりのスピードの上がり方も違うし、上り坂ともなればパワーの差はより効いて来て付いて走るのが苦しくなる。

女子選手は見た目はグループ走行に付いて走れているが、常に耐乳酸トレーニングをしているような状況になる。ほぼレースと同じかそれ以上の負荷がかかった走りになってしまう。自分の限界に近いスピードが常に求められる乳酸まみれの、細胞や筋肉にダメージの大きい回復に時間がかかるトレーニングになる。

実際のドラフティングレースは41kmで展開しているのだから、集団で男子と45kmで走ってトレーニングしているのだから、レースでは4km分の大きなゆとりがあるはずなのだ。使うギヤ比も軽く、クランクを踏み込む力もはるかに小さいはずだ。

なんで得意のバイクで脚を温存して、ランで好タイムを出すことに考え方を切り替えた方が、1分から3分など、もっとも差がつきやすいランのタイムを向上させて、トライアスロンとしてのトータルの成績が上昇する可能性がある、もったいないな〜。

女子選手はフルパワーで走るトレーニングでも、速度が低いレースでも通用するポジションにしてほしいという。ということは、この女子選手はトレーニングの負荷の大きさと、レースでの負荷とに差があることに気がついているのだ。

レベルの全く違う走りを一緒のポジションで解決しようとしているのだから、そこで違和感を感じて混乱が起こっているのだが、そのことには気がつかずマッチしないと悩んでいるわけだ。自分が戦っているフィールドで快適に走れるポジションを探すのが正解と思うのだが、それはこの段階ではアドバイスはしない。

全く条件が違うのに、とにかくオールラウンドのポジションを追い求めている。こう思い込んでいるうちにいくらアドバイスして、ここがいいよと言っても、練習環境を変えないと強く、速くはなれないよと言っても、聞き入れられるわけはない。速く走れるライダーと走っていれば速くなれると思い込んでいるのだから。

この女性アスリートには、耐乳酸性を高める効果がある速いグループライドは週に1回程度で十分なのだ。それより心肺機能を開発するLSDトレーニングを3時間から4時間、20分間続けられるスピードで走る3本のレペティションでスピードとスタミナの両方に効果があるトレーニングへ取り組むべきだ。

でも直属のコーチが示しているバイクのメニューがグループライドなので、これを変更する権限もないので、このまま運動生理学的に意味がないバイクトレーニングを毎日継続するんでしょうね。耐乳酸トレーニングだけで強くなれれば、苦しいけど、頑張る人はみんな強くなっていているはずだ。本当に強くなるためのトレーニングのバランスでコーチが悩みやしないよ。

結局フィッティングはどうしたかというと、どう調整しても、混乱していて冷静に正しく判断できないので、2時間くらいかけて試してみたけど予想通りの感想で、結局男子とグループライドするのに適した、フルパワーで走るセッティングへ戻して終わることにしました。混乱している時の選手とはそんなものなのです。

トライアスロンは3競技のバランスを考えたレースの戦略を考えて、トレーニングの内容も考える必要がある、トレーニングパートナーの力を有効利用する方法も考える必要がある。もっと自分のレースの内容を精査して冷静に取り組む必要がある。そうしないと貴重な時間とエネルギーの浪費になる。速くも強くもなれません。だってインテリジェントスポーツなのだから。

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