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2020年03月07日18:24

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ゲキ×シネ「修羅天魔」

3月5日(木)、ゲキ×シネ『修羅天魔〜髑髏城の七人season極』をバルト11で鑑賞。
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花・鳥・風・月(上弦・下弦)と続いた劇団☆新感線の新しい『髑髏城の七人』シリーズ最終作のゲキ×シネ版。
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昨年連続して劇場公開されていたシリーズが最後の『極』(きわみ)を残して途絶えてしまい、もしや入院などしている間に終わってしまったのではと恐れていたのだが、「ゲキ×シネ冬の陣」として無事劇場上映。一日限りの上映も終映22:30という時間にもめげず行って来ました。
場内はコロナウイルス拡大も影響してか少なめ。年齢層は高め。

美貌の若衆太夫・夢三郎が統べる遊郭・無界の里へ流れ着いた流れ遊女お蘭。極楽太夫と名乗り、凄腕の狙撃手である彼女の狙いは、関東に勢力を広げる髑髏党の首領・天魔王、実は本能寺を生き抜いた信長の命。
無界の里に集まるのは兵庫をリーダーとする関東荒武者隊の面々と裏切り三五、兵庫の兄の農民ぜん三、髑髏城の絵図面を握る少女・沙霧、徳川家康が身をやつす浪人・狸穴二郎衛門と配下の忍び清十郎。刀鍛冶・贋鉄斎の弟子で鉄砲鍛冶の名人カンテツを加え、髑髏城を舞台に怒涛の幕が開く。

過去の『髑髏城』シリーズとは異なる設定。主人公・捨之介も蘭兵衛もいない。
主役は流れ遊女お蘭こと極楽太夫。演じるは新感線にはお馴染み天海祐希。スケール大きく気風のいい芝居で捨之介と蘭兵衛、二人分を背負って立つ。
髑髏党を率いる天魔王は新感線の看板役者・古田新太。織田信長の影武者で、お蘭のかつての同志。亡き信長を間に、天魔王とお蘭との愛憎劇が繰り広げられる。
熊木衆の生き残り沙霧(さぎり)を清水くるみ。『season月』2作では少年霧丸に変更して演じられたりもした役を元の少女に戻しての上演。やはりこの方が落ち着く。
元々の極楽太夫に代わって無界の里の中心となるのは若衆太夫こと夢三郎。演じるは竜星涼。化粧もばっちりに着飾っての太夫姿で歌い踊る。しかし、その正体は天魔王の一子夢虎で、情報収集の為に無界の里を利用。隠し子である出自から父・天魔王への忠誠心と執着が強い。複雑な役を熱演。
今回出演場面が多い狸穴二郎衛門=徳川家康を山本亨。堂々とした風格。
家康配下の忍び清十郎は『髑髏城』初登場。演じる川原正嗣はこれまで殺陣指導兼アクション監督としてシリーズを支えた人材。さすが切れ味のいい時代劇アクションが冴える。中盤で忍びを捨ててお蘭を助け、捨之介のいない『極』で「七人」の一人として見事に立つ。今までどうしてこの役がなかったかと思うほどしっくり嵌る。
冒頭の沙霧を助けての関東荒武者隊と髑髏党の争いで、隊の人数が一人多いと思えばここに裏切り三五が入っていた。演じるは河野まこと。若々しく演じて、今までの手の平返しの三五のイメージも裏切る。
荒武者隊の兵庫は福士誠治。クールなイケメンで熱血漢を好演。義兄弟の契りを結ぶほど信頼していた夢虎との対決では是非ともちびた刀で一太刀浴びせさせてやりたかった。
その兄ぜん三は梶原善。ベテランらしい安定感。かつて『アカドクロ』では贋鉄斎を演じ、『season鳥』では狸穴二郎衛門で登場。
いつもは天魔王の無敵の鎧には刀鍛冶の贋鉄斎が打った刀で対するのだが、今回は贋鉄斎の弟子で鉄砲鍛冶のカンテツの鉄砲で。カンテツを演じるのは三宅弘城。これがかなりエキセントリックで呆気に取られるほど。いつもの極楽が隠し持っていたガトリング銃はここでは彼が作ったことになっている。
髑髏党の三幹部にお馴染み吉田メタル、右近健一にミュージカル俳優・原慎一郎が加わり、いきなり髑髏党の歌を朗々と歌い上げ、全員でミュージカルになる演出がいい。竹田団子さんかと思われる鎧も映える。

正体を現した夢虎と髑髏党による無界崩壊からの髑髏城殴り込み。
筋立ても人物設定も今までの『髑髏城』とは違うので、蘭兵衛の闇堕ちや極楽太夫との決着、沙霧と天魔王の対峙、無敵の鎧を纏った天魔王と、捨之介&贋鉄斎が刀を振るっては研ぎの対決、など数々の名場面は無くて残念な気持ちはあるが(沙霧の名台詞「この城はあたしの庭だ!」は聞きたかった)、見たことのない展開はやはり楽しい。
絵図面に基づき、それぞれが要所に爆薬を仕掛けて落城を図るなどの活用もいい。
燃える髑髏城の煙を背に勢揃いした七人の歌舞伎調の決め場面がいつもの流れの中にないので面食らっていたら、最後の最後に場面を移し見事に決めて見せてくれて、これには大喜び。
今回はラストが全然違う。
今まではどのバージョンでも、お宝を手にして七人それぞれの道へと散って行くのだが、今回はお宝を元手に失われた無界の里の再建に皆で向かう。沙霧の捨之介への、兵庫の極楽への思いの決着もないのだが、それは配役で分かっていたこと。
過去のバージョンも未来を感じさせて良いのだが、今回の終わり方は更に気持ちがいい。
ここで、バーンと背後からライトが当たって「髑髏城の七人」勢揃いとなる見事さ。上がる!前の筋立てにこのラストの版も見てみたい!
極楽が捨之介の決め台詞「浮世の義理も 昔の縁も 三途の川に捨之介!」を言い放った時はぞくぞくした。
やはり看板芝居。どんな挑戦も飲み込んで生きる。
『髑髏城』はバージョン毎、役者毎に満足感が微妙に違い、今回も全満足とはいかないのだが、それはそれとして、やはり無理して行って観て良かった。

ゲキ×シネとしては、今まで以上に映画的。コンテの存在を感じさせるカメラワークとカット割り。大アップの多用。スローモーションや回想シーンもある。これはこれで楽しいが、いつかは本物の舞台を見てみたい。
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