mixiユーザー(id:1506494)

2020年02月08日21:22

177 view

清水華澄 メゾソプラノ・リサイタル@加賀町ホール

日本リヒャルト・シュトラウス協会第185回例会は声楽コンサートで、最近めきめき頭角を
表している二期会メゾソプラノの清水華澄さんによるR.シュトラウス及びドイツロマン派
歌曲のリサイタルです

清水さんはオペラで活躍されておられますが、実はワタシ彼女の舞台にはあまり接して
いない、二期会はダブルキャストによる公演が原則なので、たまたま別キャストの組ばか
り拝観しておりまして、記憶にあるものでは新国立劇場のラインの黄金、これもラインの乙
女の一人ということで、この日記では池田香織さんばかり褒めてしまった(スミマセン)

ということで本日は清水さんピンで、重点的に拝聴する機会を得ました

国立音大を首席卒業、その後新国立劇場オペラ研修所を終了、文化庁派遣でイタリアに
留学、今では主要なメゾの役を次々演じておられる、しかしこのところオペラはお休みし
(本人談)オーケストラとの共演や本日のような歌曲リサイタルに軸足を移しているそうです

本日の会場はホールという名ではあっても、キャパ100名ちょっとくらいの、むしろサロン
といった場所ですが、反響板なども完備されており音響的にはかなり迫力があります
そこに持って来て清水さんの声量は第一声からド迫力、伴奏の井出さんもこれに負けじと
スタインウェイを存分に鳴らすものですから、圧倒されるものがありました

第一ステージはコルンゴルトのシェイクスピアによる道化の歌、ワタシ沙翁全作品を制覇
しているのに、恥ずかしながら出典がわからない、かろうじて終曲が十二夜からだという
ことはわかりますが(これがわからないようではどうしようもない)、その他は不明です
帰宅してから調べたところ、すべて十二夜からのものでした
清水さんはこれをドラマチックに歌い上げ、単なる芝居の挿入歌以上のものにしておら
れました(コルンゴルトの作風も、中世的な平明・簡素なものではない)

この後マイクを手にして清水さん自身によるMCが入りましたが、これが今聴いた歌とは
全然違う、見た目ぽっちゃり系の愛嬌のある風貌なのですが、その通りの天衣無縫と
いいますか、天真爛漫といいますか、ほとんどJKのノリであります
メゾと言えばどすの効いた悪女タイプというイメージを完全に拭い去るものでした

実はシュトラウスのレパはあまりない、と正直に告白されて、自らの声質にあったものを
お師匠さんの(どなたかな?)勧めに従って選んだ3曲はいずれも豊かな声量を惜しみなく
使ったものです(第1曲目のツェツィーリエを歌い終わったところで拍手が起こってしまった)

休憩後のマーラー、子供の不思議な角笛からは滑稽なものとシリアスなものを交互に
組み合わせ、自在な表現の持ち主であることを示します

最終ステージのヴェーゼンドンク歌曲集は、これまでオケ伴のものばかり聴いてきまし
たが、本日は井出さんのピアノ共々オケに負けないヴァーグナー感たっぷりの演奏で
噎せかえるような情感に溢れたものでした

アンコールは、大丈夫かなといいながら献呈を暗譜で、といっても歌詞に自信がなかっ
たらしく、歌の途中で井出さんのそばに寄り伴奏譜を時折覗き込みながら歌われました
それでもHabe Dank!の部分だけは客席を見てたっぷりと
メゾ用ではなく原調のC durで、最後のHeiligの高音Aは充分にテヌートというよりは
フェルマータをかけてソプラノへの兆戦です(もちろんクリア)

本格的には本日初めて拝聴したわけですが、再来週は東京シティフィルの定期でミサ・
ソレニムスを、来月4日には都響の定期でブリテンの春のシンフォニー、いずれもソリスト
として聴かせていただきます(図らずも清水華澄月間となります)

とにかく明るい清水さんのリサイタルでありました
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829