mixiユーザー(id:28135846)

2020年02月08日19:27

242 view

大西宇宙の独壇場・・・いずみシンフォニエッタ

来て良かった、ほんとに。

大阪 いずみホール
<新・音楽の未来への旅>シリーズ
いずみシンフォニエッタ大阪 第43回定期演奏会「妙趣恍然!大地の歌」
飯森範親指揮 いずみシンフォニエッタ大阪
望月哲也(テノール) 大西宇宙(バリトン)
中村滋延:《善と悪の果てしなき闘い 第一章》(2015/2017 世界初演)
マーラー(川島素晴編):《大地の歌》

ぐすたふくん、仕事上ストレスフルなことが続き、あまり精神的にはよろしくないです。だから、楽しめなかったらどうしよう、と聴きに来るのを躊躇していたのだけれど、結果的には、今日の6楽章を聴いて元気が出ました。

「私には、この世界で何もいいことはなかった
・・・私は行く、山の中へと、そして探す、やすらぎを、私の孤独な心のために!
 私は行く、ふるさとへ、私のもといた場所に!
 ・・・
 愛しい大地の、至るところ
花が咲き春になり、そして緑になる、新しく!
 至るところ、永遠に青く輝く・・・永遠に、永遠に…」

そうだよ、この世の中、嫌なことばっかりなんだから。何一ついいことなんかないかもしれない。でも、時は廻り、また春が来るんだ・・・ここは何回聴いても泣ける・・この世の中、ぼくだけじゃなんだよ、そんな思いしてるのは。・・この曲を書く直前、マーラーは職場を追われているんだよもん、そら、こんな気持ちにもなりますって。

それはともかく・・この6楽章を時に語りかけ、時に絶唱する大西宇宙氏のバリトンの、豊かな声量と深さ、そして何よりその色艶が絶品。いやあ、惚れ惚れしましたねえ。

実はぐすたふくん、この曲の実演を男声2人で聴くのは初めて。アルトで固定された耳にどう響くかも心配していたのだが、男声ゆえに自分の今の姿にシンクロしてしまい、すっかりどっぷりと浸かる羽目に。プレトークで飯森さんが言っていた、「女声だと、歌詞との間に距離ができてしまうが、男声だとそれがない」得難い経験ができました。やはり、ライブならではの息遣いや空気感が、それをさらに後押ししていた気がします。

対してテナーは、編成をここまで(1管5型30人: 弦5-4-3-2-1、木管1ー1ー1ー1、金管2-1-1、パーカッション4、チェレスタ 1、ピアノ1、ハープ1)絞っても、1楽章のフォルテでかき消されそうになる。やっぱり、この曲テナーには辛い曲なんですねえ。健闘をたたえたいですが、今日の大西さんと並べるとちょっと可哀想でした。

いずみシンフォニエッタ用にアレンジされた今回の編曲は、極めてよくできていて、全曲を通してオリジナルに近い響きがするのにはビックリ。シェーンベルク =リーン編のアレンジがハルモニウムに寄り掛かった響で結構つらつらなのに比べれば、はるかにいい響きで違和感がすくない。ピアノに寄り掛かったと感じる場面も、せいぜい2、3箇所。何より、パーカッションの扱いが秀逸で、特にラスト、極小の鐘がチーンとなるところに、特殊なシンバルを弓で擦った響きがかぶるところなんか、オリジナルよりも美しい。

奏者でいうと、オーボエ/アングレ持ち替えの古部さんの音の素晴らしいこと!6楽章の泣かせどころなんて、すごい響きです。

今回の演奏、再演を心から希望します。というより、岡山フィルさん、この編曲、持って行ってシェレンベルガーさんのオーボエでやるっていうの、どないどす?


3 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829