SF者のはしくれのつもりでいたのに、シオドア・スタージョンをほとんど読んでなかった。
それってたぶん、六甲おろしを歌えないくせに、阪神ファンを自称するみたいなものだよね。
(私、歌えないので、自称しません。)
で、あせって、スタージョン作品を、おもに古書で買いあさっている。
この早川の異色作家短篇集シリーズの1冊も、若いとき(高校生から大学生にかけて)よく買ったシリーズなのに、入手しなかった数冊(チャールズ・ボーモントとかコンピレの『瓶詰めの女房』等々)の一つだった。
大好きな小笠原豊樹(岩田宏)さんの訳だから、確信犯で買わなかったわけじゃなくて、そのうちにとか思ってるうちに本屋で見かけなくなり、ついにはお値段の高い稀覯本になっていたらしい。
なもんで、再刊の注文に力が入りすぎて、例によってダブり買いしてしまった。
(いいさ、また版元品切れになって、すでに5700円とかいう古書価がついてるから、気が向いたら転売するさ。)
もちろん、いいスコッチのように味わい深い(なので一気にまとめて読むのがもったいなくて、ちびちび読んだ)。
「猫愛好者には決しておすすめできない猫もの短編」の名作といえば、私見では、サキの「トバーモリー」にとどめをさすが、本書中の「ふわふわちゃん(Fluffy)」は、それに匹敵する水準の作品。
しかも、両作で、猫と人間の運命が正反対なのが面白い。
余談だけど、本書中の「死ね、名演奏家、死ね」では、スタージョンが(オールドスタイルの)ジャズにかなり見識があることが分かったりして、それって、厨房のときに読んでも感得できなかった部分だろうから、年寄っての読書というのも悪くないものです。
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