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2019年09月19日20:23

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こまつ座公演 日の浦姫物語@紀伊國屋サザンシアター

井上ひさしメモリアル10と題して、劇作家の没後10年を記念しての上演の一環は、我らが
鵜山君演出で40年前に文学座で杉村ハル子先生主演に当て書きで作られた珍しい作品
(演出は木村光一氏)、今に至るまで再演は7年前にシアターコクーンで蜷川氏演出大竹
しのぶさん主演によるものだけのようです

平安時代の奥州岩城国を舞台に、近親相姦がテーマとなっている、重い内容なのですが、
そこは鵜山演出ですから抱腹絶倒の喜劇となりました

双子の兄妹が道ならぬ間柄となり子を宿すという設定はジークムントとジークリンデを思わせ
さらにその生まれた子は世間体をおもんぱかって海に流される
時を経て凛々しい若者となった息子はそれが母とは知らず夫婦となってしまうのはオイディプス

若者太郎から見れば日の浦姫は実母であり、実父の妻であるので義母でもある、また実父の
妹なので叔母である、という具合に複雑な関係となることで観客をけむに巻くのはシェイクス
ピアのペリクリーズに端を発します

配役は初演と今回の演出家の関係で文学座が主体、そこにこまつ座常連の辻萬長さん、
元宝塚から鞠谷友子さん・朝海ひかるさん、日の浦姫の夫と息子の二役を若手役者の平埜
生成さんという座組です

やはり主役二人の夫婦にして母子を演ずる若手より、劇を進めるコロス役の辻さん・鞠谷さん
コンビと、狂言回しのたかお鷹さんが圧倒的に面白い
たかおさんは蜷川版でも同役を演じ、今回全く異なる演出だったので違和感があったとのこと
ですが、鵜山演出の過去作品「缶詰」「踏台」「ゆれる車の音」のときの鷹さんそのままです
から、むしろ蜷川さんによくついて行けたと思います

また、杉村センセイもよくこの役を引き受けたものです(72歳で16歳の役をやる)
作者の井上氏は、むしろ断ってくれることを願っていたとのことですが、その割には女の
一生の名台詞を日の浦姫に言わせたりして、充分に遊び心を感じます

井上芝居はやたらに薀蓄を傾けたり、説明的なセリフが多くて辟易することもあるのですが
今回は15分の休憩を挟んでの3時間、大笑いをさせていただきました

終演後はこまつ座代表井上麻矢さんの司会で辻さん、鞠谷さん、たかおさんによるアフター
トークが30分ほど、演出家を褒めたりいじったり、興味深い内容でした
萬長さんによると鵜山君のダメ出しは抽象的表現が多いのだけれど、最近具体性が増して
来たらしい(彼の中でどんな変容があったのか)

今年はまだ鵜山演出作品が4本残っています(どんな変容を見せてくれるのか)
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