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2019年09月06日23:08

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花岡千春ピアノ独奏会@東京文化会館小ホール

恒例の千春さんのコンサートに行って参りました
千春さんにはファンタジーが良く似合うと過去に書いた、その想いが通じたのかどうか
(多分通じていないと思いますけど)、月光ソナタとさすらい人幻想曲をメインとした
プログラムです

最初にクープランのクラヴサン組曲から3曲、去年のアンコールに弾いたのはこれだった
のか、今となっては記憶も定かではない
ともかく、前にも書いたと思うけれど、ワタシはクラヴサン(チェンバロあるいはハープシ
コード)の曲をピアノで弾かれたのが好きです

カークパトリックがチェンバロで弾いたラモーを持っていますけれど、滅多に聴くこともない
あの装飾音をチェンバロで聴くと、どうにもガチャガチャいって心が落ち着かない
メイヤーやタローがピアノで弾いた演奏の方がよほど和みます
森茉莉さんの小説に出てきそうな、世田谷辺りの閑静な住宅地の一角、緑の木立の中の
古い西洋館のフランス窓から誰が弾くのか聞こえてくる、という風情が好きなのです

今日のクープランも、適度に抑えたペダリングと、スタインウェイの豊麗な響きが絶妙な
バランスのピアニズムに魅せられました

続く月光ソナタも、いつぞやのホロデンコのような、三連符を崩して息も絶え絶えというような
エキセントリックな解釈ではなく、当たり前にリズムは明確に、しかしコード進行はもはや
ロマン派というベートーヴェンの革新性を伝えるものでありました

いつものことながら、千春さんご自身による公演パンフレットの解説文は大変ためになる
さすらい人幻想曲の重要なテーマとなっているシューベルト特有の「タータタ、タータタ」という
リズム(例えば歌曲「星」なんか)がダクテュロスというのだとは本日始めて知りました
(古代ギリシャの詩型のことなのだそうです)

このさすらい人幻想曲は、しかしファンタジックというよりは極めて構造的な曲で、ベートー
ヴェン最後のソナタと同じ年に作曲されたということもあるのだろうとは、これまた千春さんの
解説文に教えられました

アンコール3曲はいずれも編曲もの
「バッハを」とだけ告げて弾きだしたのは「主よ、人の望みの喜びよ」
続いてはコルトー編曲によるフォーレの連弾のための組曲「ドリー」から終曲のスペインの
踊りを「難しいんですよ」と言いながらお見事です
最後にいつものように人差し指を立てながら「あと1曲ね」とフォーレの歌曲「月の光」を
これは来年出版されるとのことですからご自身の編曲かな

会場にはワグネルOBの塩野さん、亀井さん、団友扱いの岩渕(弟)さんなどの姿

内容は濃かったけれど、1時間40分ほどで終わってしまったので、夕食は上野駅ナカの
二八蕎麦の店「蕎香」で5種の野菜掻き揚げせいろをいただきました
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