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2019年08月05日19:03

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にわかに人気急上昇中!ネコ科マヌルネコ 4匹の子供の巣立ち

mixiニュースでは、毎日のように話題の動物写真が公開されています。本日2019年8月5日(月)付けの記事では、ダンボールに開いた穴から顔を出すネコの写真がアップされています。
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=view_photo_group&position=ie_redirect&id=5735747
 
 ペットのネコは、大きな望遠レンズや高性能のカメラを使う必要がなく、身近なスマートフォンでも撮影ができます。

 構図次第で実にユニークな写真が撮れることを学びました。


 今回、にわかに注目を集めているペットのイエネコの遠い祖先である現存種マヌルネコについて書きました。

 見本となる写真

写真左     東京都台東区上野動物園で飼育されているマヌルネコ

写真真ん中  野生のモンゴル東部に生息するマヌルネコの子供 NHKワイルドライフより

写真右     野生のモンゴル東部に生息鶴マヌルネコの子供   NHkワイルドライフより


 先月7月13日(土)に栃木県那須市にある那須動物王国で、今年4月22日に誕生したマヌルネコの赤ちゃんが、一般公開されました。ガラスケージ越しに二本足で立ち上がり、来園者と至近距離で目をあわせるそうです。

 関連サイト OTEKOMACHI
https://otekomachi.yomiuri.co.jp/comfort/20190710-OKT8T161344/

「反則」「食べちゃいたい位かわいい」 那須どうぶつ王国のマヌルネコの赤ちゃんがかわいすぎる壁ドンを披露する
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=5734181

 
日本では、東京都台東区の上野動物園、愛知県名古屋市東山動物園を含め、6園で飼育されています。

 マヌルネコは、動物分類学上食肉目ネコ科に属し、本種のみでマヌルネコ属を形成します。大人の体調は50cmから65cm、体重3kgから5kg、


 590万年前には他種から分岐した原始的なネコの仲間です。ペットとしてなじみのあるネコの進化を知るうえでも希少な種です。

 写真は2013年5月2日 東京都台東区上野動物園で撮影
フォト


 野生下では、中国のチベットやモンゴル、シベリア南部の内陸部に生息しています。個体数が少なく、絶滅が危惧されています。近年になってようやく生態調査が進みました。

 接し30度を越える夏場と、時に氷点下40度まで下がる冬場では、毛が生え変わります。

 写真NHKワイルドライフより
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 厳しい冬に体温を保持するべく、手足や耳は小さく、ずんぐり体型です。同じネコ科のカラカルの写真と比べると、ずいぶんと体自体丸みを帯びています。

 写真NHKワイルドライフより
フォト




 日本の公共放送NHKが制作した自然ドキュメンタリー番組「ダーウィンが来た!」と「ワイルドライフ」で、モンゴル東部スフーバルト県の大平原で生きるマヌルネコが紹介されました。

 30分番組のダーウィンが来た!では、2018年4月1日(日)に初回放送されました。以下のリンクです。綺麗な写真が公開されています。
http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/articles/detail.cgi?p=p543


 60分番組のワイルドライフでは、ダーウィンが来た!では伝え切れなかった細かい生態まで解説されました。初回放送は、2018年11月12日(月)になります。



 番組の製作元NHKの取材に協力したモンゴルの研究者が、発信機をつけて一組の親子を追跡した結果、知られざる素顔が明らかにされました。

 私自身、マヌルネコの詳しい生態を学ぶべく、番組の模様をレポートしました。日記では、短くまとめたうえで公開しています。番組の第2章と第3章の様子をご覧になって下さい。


 舞台 モンゴル東部スフーバルト県

 紹介する動物 マヌルネコの母親と4匹の子供

 生態 およそ100m四方の縄張り内で決まったねぐらとなる岩場を複数持つ。主食はネズミ

 取材した季節 夏場の7月から子供達が自立する秋の初め

 

 
 第2章

 午後7時、猛暑が収まり、幾分涼しくなった頃、小さな子供が岩穴から顔を出した。日没時間は午後9時、日が翳るに従い地上に出て、歩行練習を始める。お互い先端が黒い尻尾が気になり、引っ掻いて触ろうとする。人の子供と同じく、動くものに興味を示す傾向がある。時に兄弟同士で取っ組み合いの喧嘩までしていた。


 午後9時、日没に伴い、温度を感知する赤外線カメラでの撮影に切り替えた。赤外線カメラによると、完全に陽が落ちた後、母親は幼い子供を連れて、移動をしていた。敵の襲撃を回避するべく、3ヶ月から4ヶ月の子育て期間中、引越しを行うという。春から継続的に観察した研究者が撮影された映像によると、子供は生まれて間もない段階では、ほとんど目が見えていない。岩の中に手を入れて、外に出しても、抵抗することはなかった。これまでの観察によると、生後1ヶ月ほどで視力が発達し、巣穴から顔を出す。次第に岩の上を歩き、脚力を鍛えていた。
たった一匹で子育てする母親は、体が痩せ細り、冬毛から夏毛に生え変わる段階だった。うなり声をあげながら、やんちゃな子供達をまとめあげる。一匹ずつ口にくわえて、巣穴に引き戻していた。
 
7月中旬、乾いた平原に大量の雨が降り注いだ。岩場の周囲には土の中に埋まった種が発芽し、瞬く間に緑が濃くなった。花園が出現すると共にマヌルネコの様子も変った。昼日中、母親が地上を抜き足差し足で20m程進んだ。身を低くしながら、獲物に忍び寄る。耳が小さい分、音は聞き取りにくい。その代わり目の位置が高く、獲物の動きを正確に見極めることができる。視線の先には、スナネズミがいた。辺りに目を配りながら、巣穴付近で草を引き抜いて、食み出した。母親ネコは、十分に距離を詰めると、急に駆け出した。草を食んでいた獲物が、巣穴に戻る前に、両手で掴みとり、口にくわえとった。狩の基本は、緩急をつけて、獲物に忍び寄ることである。ターゲットを定めると、匍匐前進をしながら、射程圏内まで入っていた。獲物が体の向きを変える、または食事中の手を休めた隙に、瞬間的に飛び掛っていた。母親は捕まえた獲物を、走りよった子供に渡した。ネズミは足を震わせて抵抗を示すが、もはやなす術がない。

 獲物のスナネズミ
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 母親の狩は、他にも方法がある。草の切れ間に出現したスナネズミに対して、尻尾を持ち上げながら小刻みに震わせた。獲物のネズミに視点を定めたまま一歩ずつ近寄っていく。ネズミの方は、尻尾にひきつけられ、じっと立ち止まったまま注意深く見つめる。逃げるどころか、金縛りにあったかのように、動けなくなっていたのである。一瞬の隙を突いて母親は後ろ足で地を蹴り、飛び掛った。今回は、途中子供が割り込み、失敗した。子供が視界に入り、獲物をつかむ前に、着地してしまったことが原因だ。子供がじっとしていれば、確実に狩は成功していた。

 
フォト


狩の秘密は、尻尾にあるはずである。そこで、研究者はマヌルネコの尻尾に似せたダミーを用意した。砂地に体を横たえ、マヌルネコと同じ目線に立つ。獲物となるネズミを見つけて、ダミーを振ったところ、確かに注意をひきつけていた。スナネズミは、左右に揺れ動く物体の正体を確かめるために、視線を注いでいた。マヌルネコの尻尾振りには、他にも役割がある。尻尾を使って、ネズミの動きを止めて、巣穴の位置を確かめていた。複数の出入り口を設けるネズミは、普段どの穴から顔を出すのか、はっきりと分からない。例え狩に失敗しても、出入りに使う穴の存在をつきとめることが出来れば、大きな成果である。まさにエネルギーを節約しながら、獲物を手に入れる名ハンターである。子供達は、わずか20分で4匹もネズミを手に入れた母親に付き従い、少しずつ技を覚えていく。

             第3章 子供達の成長
 7月下旬、生後3ヶ月の子供が4匹、岩穴から外に出てきた。薄茶色の体は、砂漠地帯に溶け込んでいる。毎晩500mから2kmの距離を歩き、ねぐらを変えていた。移動を繰り返すうちに、他の家族と合流することもある。2家族のうちの一匹の子供は、岩場に設置したカメラが気になり、ゆったりとした足取りで近づいていく。度々立ち止まり、つぶらな瞳で様子をうかがう。動かないカメラは、獲物ではないと判断し、体の向きを変えて、家族の下へ戻っていった。我々人の子供と同じく、見慣れない物には興味を示す。小さいうちは、母親の目が行き届くところで行動していた。

母親は、子供から視線を離し、遠ざかっていった。我が子にかまっていては、十分に食事をすることは出来ない。スナネズミの巣穴にとどまり、偶然出てきた個体を本能的に噛み付いた。獲物となるネズミの立場に立つと、巣穴から顔を出した瞬間、真後ろから首根っこをつかまれていた。手馴れた母親ネコは、地面の動きを察して、穴の正面から真横へと移る。穴から這い出たネズミは、全く敵の存在に気づかず、じっと立ち尽くしたままだった。獲物の隙を狙って、母親ネコは捕獲していた。
 あの小さな子供達は、母親の狩を真似て、尻尾を振って、ネズミの動きを止めた。注意をひきつけたとはいえ、距離を詰めることなく、早く飛び出したことにより、狩は失敗に終わった。母親さながら、匍匐前進して、ネズミに接近する子供もいた。後ろからもう一匹の兄弟が追い越していく。匍匐前進していた子供は、気が散って、早めに駆け出してしまい、ネズミを掴み損ねた。逃げるネズミの前に立ちはだかったのは、後に続いたもう一匹の兄弟だ。母親は、子供の成長を感じた今、少しずつ距離を置き、餌を運ぶ回数を減らした。

別れのタイミングは突如訪れた。前日まで子供に優しく接した母親は、乳をねだる子供を拒むかのように、体を捻って、向きを変えた。子供は前足を伸ばしてしがみつく。母親は、決して要求にこたえることはなかった。甘えを許せば、冬を前に自立できなくなる。最後まで視線を合わせることなく、そのまま去っていった。生後4ヶ月を迎えた4匹の子供は、大平原に取り残された。親に頼らず、厳しい自然に立ち向かいながら生きることを迫られた。幸いにも夏場は悪天候のリスクがなく、餌もとりやすかった。母親から習った技を生かして、ネズミを求めて大地を駆けていく。


 8月下旬、草原に花が芽吹き、色彩が豊かになった。マヌルネコの子供達は、秋を迎えるこの時期、それぞれ別別に行動する。母親から離れた今、新たに縄張りを獲得するべく、外に出る必要がある。研究者は、詳しく成長過程を調べるために4匹の子供にそれぞれ発信機を取り付けていた。親離れする頃、敵への備えが十分に出来ず、命を落とす危険性をはらむ。果たして食料もしっかり確保できるのか、種の保護の観点からも注意深く見守った。

 日中、それぞれ4匹の子供達は、岩の隙間で身を潜めていた。人の気配を察するや否や、はじかれたように外へ飛び出し、後を気にしながらも、駆け出していった。茶褐色の体は、岩穴や草地にしっかりと溶け込んでいた。動かなければ、空を舞う天敵の目につきにくくなる。調査の過程で発信機がついていない一匹の子供を発見した。さて、4匹の子供の母親の居場所は、20km離れた丘陵地と判明した。周囲に岩場はなく、草の中に紛れ込んでいた。縄張りを4匹の子供に譲り、たった一匹で広い平原を自由に駆け巡り、狩をするようになった。

 岩穴から顔を出す子供
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 大平原の中にいる子供
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 4匹の子供達は、母親に習ったとおり、匍匐前進しながら、獲物に忍び寄り、速やかに飛び掛っていた。1匹のオスの子供は40分のうち、3匹も捕獲していた。冬を前にいかに獲物を確保するか、生きていくうえでの課題である。現にオスの子供のねぐらには、ネズミの骨が転がっていた。研究チームは、子供の負担を減らすべく、発信機を取り外して、開放した。一匹のオスの成長は確かめられたものの、4匹のうちの1匹のメスはやがて死体となって発見された。周囲に散らばった羽からソウゲンワシに襲われたことが明らかになった。

11月下旬、ブリザートが吹き付ける平原は、一面真っ白に染まっていた。雪に閉ざされた世界に小さな穴が開いていた。中から毛並みが良いオスが出てきた。発信機付の首輪を取り付けるうで捕獲すると、作業員の手に噛み付いた。冬を乗り越える個体はわずか3割にとどまる。

 捕獲した子供
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春から夏の終わりにかけて、平原に広く散らばって生息するマヌルネコは、観察例が少なく、生態は謎に包まれていた。幼い頃小動物を狩るハンターでありながら、大型動物や空を舞う猛禽類に襲われていた。中間的捕食者の立場上、敵から身を守る必要性と、獲物を効率よく獲得する技を求められる。夏は茶褐色に冬は白色の毛に生え変わり、背景に同化する。隙間風が程よく通る岩の隙間をねぐらに利用し、カムフラージュにも成功した。生後4ヶ月が経過すると、自立をうながされる。親が残してくれた縄張りにとどまり、匍匐前進をしながら獲物のネズミに忍び寄り、一気に飛び掛っていた。
4匹の子供のうち、生き残った3匹は仲間に頼ることはない。主食となるネズミの獲得数により、運命が変わる。夏と冬の気温差が激しい大平原で脈々と命を繋いでいる。

雪原に身を伏せる子供
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                                                   <終わり>

 
箱から出たくないニャ 箱に空いた穴から毛玉を狙う猫ちゃんのまんまる顔がかわいい
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=5735747
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