先に断っておきますが、日本中の子供達が一度はプレイした事があるであろう国民的な人気を誇る超有名ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズを、狸は一度もやった事がありません。
ドラクエに関する知識の無い一見さんのレビューですので、的外れな事を書いていても御容赦くださいませ。
脚本がぎこちなく、特に作品前半の展開が雑な印象。
「親子の繋がり」がテーマのひとつだと思いますが、主人公と父親のふれあいの描写が駆け足で描かれていて、いまひとつ共感できない。
登場する重要なキャラクターの紹介だけで終わっています。
オリジナルとなったゲームの脚本の要点だけを繋げているようで、ドラクエを知らない人には不親切なつくり。
3DCGによる映像は細かく作り込まれていて、まるで自分がゲームの世界にいるような錯覚を覚えました。
しかし、ストーリーが分かりにくいと、その魅力も半減するというもの。
刺激的な映像が主体のアクション映画やホラー映画なら、それでもいいのですが、「主人公が成長する姿」を描くファンタジー作品でストーリーや主題が分かりづらいのは「寓話」として失敗している。
そして最も問題なのは「真の敵」が登場するクライマックスのシーン。
「真の敵」が、映画作品とドラゴンクエストシリーズを全て否定するセリフを語るシチュエーションは、突然冷水を浴びせられたようで、一気に興醒め…。
例えるならば、「あなたが夢中になっているこのゲームの世界は、全て嘘である。そんなものに囚われていないで目を覚ませ。大人になれ。」という意味…?
これ、映画では反則技なんですよね。
映画の世界では古くから、「全ての映画は嘘である」という、絶対否定し難いテーゼがあります。
それを認めてしまうと、映画に限らず、小説やゲームなどの全ての「創作物=芸術作品」で得た知識や感動は、全部「嘘」になってしまうのですよ。
とってつけたようなエンディングの主人公のセリフは白々しくて、「ドラゴンクエスト」シリーズのファンに喧嘩を売っているとしか思えない。
主人公が「彼女」へプロポーズするシーンに、思わずもらい泣き。
「天空のつるぎ」の封印が解けるシーンは、この作品の見どころ!
良いところは多いのですが、手放しで褒められない不満をどこへぶつけたらいいのか迷う…。
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