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2019年07月28日22:33

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ベートーヴェン 交響曲全集 メンゲルベルク 

だいぶ前に、メンゲルベルクのベートーヴェン交響曲全集の
CDを買ったので、聴いたら感想を書きたいと、日記に
書いたことがある。

メンゲルベルクとアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団が
1940年に行ったベートーヴェン交響曲全曲ツィクルスの
ライヴ録音である。

運命を除き、どの曲も、指揮棒で指揮台を叩いてから始まる。
この全集盤の面白いところで
指揮台を叩く音を聴くと、聴く側の意識も高まるのだ。

イタリアのユニヴァーサルミュージックから出ている
全集盤は、どの曲も指揮台を叩く音がカットされているそうだ。
これはいただけない。

今回聴いたのは、タワーレコードが出した復刻盤で
帯には
「梅田大阪マルビル店開店20周年、
梅田NU茶屋町店開店10周年記念」
とある。

1番から聴き始めたが、残念ながら音が悪い。
弦の音がギスギスした、痩せた、嫌な音。
ほかの曲も同様であった。
これではとてもじゃないが全曲聴き通せない。

輸入盤は指揮台を叩く音がカットされているので
これもアウト。

そのため、CDの代わりに
以前、2ちゃんねるのクラシック板のスレッド
「自家製盤起こし音源をうpするスレ」で
matsumo氏がアップした音源を聴いた。
日本ビクター、日本フォノグラムのLPから
起こした音楽ファイルである。

第1番
録音は古いが、古いなりに
オーケストラの充実した響きをよく捉えていて
聴きごたえがある。

かなりこまかくテンポを動かしているが、
この曲に関しては、それがツボにハマっている。
特に第2楽章は神技、名人芸だ。

第2番
この曲のみ、テンポを動かすことがほとんどなく
真面目にアプローチしている様子。
その中で、第2楽章ラルゲットはさすがに美しい。
弦のポルタメントがよく効いている。

第3番「英雄」
この曲のみ、テレフンケンに録音したスタジオ録音。
(ライヴ音源は第1楽章にトラブルがあったらしく
スタジオ録音に差し替えられている)
SP録音でこもった音。今回はパス。

第4番
第1楽章、手探りのような、遅いテンポの序奏から
独特の雰囲気である。
展開部終わりの、遅くなるところは
思い切りテンポを落とし(一部、音の変更もある)、
後期ロマン派のような深い味わいを表出する。
ここは聴きどころだ。

第5番
この曲のみ指揮台を叩く音が入っていない。

第1楽章
ティンパニの轟音がよく捉えられた録音
提示部の反復なし。いつものテンポ操作も少なく
すっきりした演奏
オーボエのソロは情感がこもっていて巧い。

第6番
第1楽章、
テーマの提示は遅いものの、それ以降はかなりテンポが速く
ぐいぐい攻めるような演奏。
第2楽章はテーマのはじめの音を長く伸ばすアイディアが
独特だが、ちょっとくどい表現で、今となっては時代遅れか。
第3楽章でのピッコロの追加はユニークだが、作曲者の意図とは
ちょっと違うように思った。
(メンゲルベルクはピッコロの追加について
「ベートーヴェンが書き忘れた」といっているらしい)
第4楽章はティンパニやトランペットの追加で
荒れ狂うような「嵐」である。

第7番
序奏からテンポの変化が多い。

第2楽章は早めの演奏で意外に陰影に乏しい。
フィナーレのコーダで
クライマックスでルフトパウゼを入れるのも
効果はイマイチ。
もっと良い録音で聴ければ、印象は違ったかもしれない。

第8番
全集中、もっとも聴き応えのある演奏だと思った。
音の状態も良く、豊かな響きを聴いているだけでも心地良い。
第1楽章の第1主題のあとの経過句でかなりテンポを
落とすのが面白い。
再現部で、トスカニーニはティンパニに主題を叩かせているが
メンゲルベルクはここはスコア通り。

第9番
エンディングのスローテンポで有名な演奏。
ふざけているわけではないのだろうが
好きになれない演奏。
これもパス。

古い録音、「英雄」の欠落、第9のひどい演奏、と
いった理由から、聴くのを遠ざけていた録音だが
楽譜の改変、個性的な解釈など
これは歴史的にも独自のポジションを占める
まさに「オンリーワン」の名演であり
聴いていて非常に面白かった。
ヒストリカル音源の好きな人には
文句なしにおすすめである。

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