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2019年05月09日20:26

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クナッパーツブッシュのリングとパルジファル

5月から「令和」という元号がスタートしたが
どうも抵抗がある。
とくに、「令」という漢字がいけない。
命令の令である。こんな漢字を元号に使っては
いけないと思うのだがどうだろうか?

「令和」は、物価の高騰、不況、金融危機など
間違いなく不幸な時代になるのである。

テレビでは新しい元号のスタートが
夢や希望のある時代のように報道しているが
そうではなく、これからまちがいなく来る
不幸な時代にどう生きるか、それを
考えるべきだろう。
お祭り騒ぎなどうんざりだ。

GW中はワーグナーを聴いて過ごした。
○「ニーベルングの指環」
クナッパーツブッシュ/バイロイト1957年。CD
○「パルジファル」
 クナッパーツブッシュ/バイロイト1961年。YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ngjt7a4Nf74&t=485s

「指環」は派手な音響効果から言って
新しい録音(少なくてもステレオ以降)が有利なのは
いうまでもない。
しかし、「指環」の名盤は、録音の古いものが多いのだ。
クラウス、フルヴェン(2種)、クナ(3種)など。

録音の点で不安を持って聴き始めたが
この時代の録音としては、非常に良い。
「ラインの黄金」は安心して聞くことができた。

意外なのは、テンポが速いこと。
「ジークフリート」など、驚くほど速いのだ。
ショルティと比較しても遜色ないほど速い。
ちょっとクナらしくない気がした。
アルデンホフ(ジークフリート)と
クーエン(ミーメ)は
ショルティ盤のヴィントガッセンとシュトルツェと
比べると、かなり地味だ。

3幕のジークフリートとブリュンヒルデの2重唱は
さすがに落ち着いたテンポだが。

「指環」の中で、もっともクナに向いているのが
「神々の黄昏」だろう。
オケの響きの意味の深さが圧倒的で
ショルティ盤の退屈さとは段違いだ。
陰謀のどす黒さ、ジークフリートの不幸。
それを見事に音楽化していくのである。
「黄昏」のみ、ジークフリートが
ヴィントガッセンなのも良い。


「指環」全曲を聴くのに5日かかったが
できれば数年に1回、聴き通したいものだと思った。
指環を聴き通すのは偉大な体験だと思う。

パルジファルは1961年のライヴで
胃を手術した年にも関わらず、
この年のパルジファル(既出音源、ゴールデンメロドラム)は
ホッターの圧倒的なグルネマンツも相まって
すばらしい名演であった。

今回聴いたのは、新発見の音源で(BBC音源らしい)
グルネマンツがホッターでなくウェーバーである。
データは1961年8月5日。
有名なフィリップス盤(1962年)とは
パルジファル、クンドリー、アンフォルタス、
クリングゾールなどが同じ歌手である。

録音は持続ノイズがあるなど、良くないが
それを超えて、感動的である。
クナ晩年のスタイルだが、フィリップス盤より
緊張感があり、集中して全曲を聞くことができた。
どの場面も名演だが、聴きどころの一つである
第1幕場面転換の音楽〜第1幕の終わりなど
これほど偉大な音楽があるだろうかと思ったほどだ。
これを知らない人は不幸なのだ。

クンドリーを歌うアイリーン・ダリスは
今回聴いて、非常に上手い人だと思った。
マルタ・メードルと比較されて、過小評価されてきたのだろうが
これだけ上手ければ、もっと評価すべきだろう。

もし、この音源が、もっと良い状態で残されているならば
ぜひCDで出して欲しい。
ステレオで、というのは無理だろうか?

クナッパーツブッシュのリングは
1956年と1958年が未聴だし、
パルジファルは1963年と1964年が未聴である。
いつになったらぜんぶ聴けるだろうか?

10 10

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