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2019年04月14日14:48

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ニック・ペトリTear it Down を読んだ!

ニック・ペトリの新作Tear it Downを読んだ!
やはり彼は本物だ。この本はシリーズ4作の中で本当に面白い、ますますうまくなってきた。
3作目のLight it upに続いて初版10万部を超え、ベストセラー作家の仲間入りをしたと言える。

今回はテネシー州メンフイスが舞台。プレスリー、チャック・ベリーらブルース、ロックで有名な街でもあるが、治安の悪いことでもワースト10に入る街なのだ。

イラク戦争に従軍した帰還兵のピーター・アッシュはいまだに戦争後遺症に悩まされていた。そこで、恋人のジェーンは彼の気分転換のため、友人のカメラマン、ワンダ・ワイアットを助けるため、ワシントン州からメンフイスへ向かわせたのだ。彼女が買った家が嫌がらせを受けていると聞いていたのだ。
ワンダは自分が黒人だから白人から嫌われていると思っていたが、ピーターがワンダの家に着くと、彼女の家の居間にトラックが突入して部屋が破壊されていたのだ。
これはストーカーではない、明らかな脅迫だった。

その頃街の繁華街にある宝石店に4人の黒人少年ギャングが押し入ったのだ。彼らは拳銃で武装し、ハンマーを持ち開店直後のたった5分間で展示ケースから宝石高級時計を奪い立ち去る計画だった。
仲間の一人が、欲にかられもっと盗もうとして二人が店員に射殺された。そして少年二人はばらばらに逃走した。音楽好きの少年エリは無理やり犯行に誘い込まれていたが、彼は逃げ切った。しかも奪った宝石、高級時計を入れた袋を持っていた。
もう一人の主犯の少年は2発の銃弾を帯びて逃げたのだが、おそらく助からないと思われた。主犯の少年しかブツを裁く方法を知らないのでエリは途方に暮れたが、彼はある考えを持ったのだ。

ピーターがガソリンスタンドに車を乗り付けた時、黒人少年エリがあらわれた。彼はピーターに拳銃を突き付け、車を奪った。15歳に満たない細い子供だったので抵抗しなかった、一瞬で倒すのは簡単だったが。
何故かピーターは少年が本当のワルではない、ギターを持った音楽好きの普通の少年と分かったからだ。

するとそれを見ていた黒のSUVがピーターの前に現れ、後部座席に乗せてくれたのだ。
車の主は黒人キングストンで町のギャングのボスだった。彼はピーターに黒人少年を知っているのかと聞いた。運転手席には用心棒の大男、ショットガン席には女性のヒットマンが乗っていた。キングストンは少年が自分の品物を盗んだから、取り返したいのだと言った。
ピーターは何も知らないと言い、車を降りた。
ピーターがワンダの家に戻ると、いきなり陸軍の重機関銃の連射音が聞こえた。
すぐさまピーターが拳銃で応戦すると、機関銃を積んだ車は逃げて行った。
襲ってきた男二人は2メートルの白人で身体中に入れ墨があり、もう一人も白人だった。
彼らがワンダを家から追い出そうとしていたのだ。
彼らは養豚場を経営する兄弟だったが彼等は何故そんなことをするのだろうか。南北戦争当時の旧家で、大金持ちだった白人の家だったが、今は黒人の住む貧しい地区になっていた。特別の意味があるのだろうか。彼らが元の所有者の子孫でもあるらしいが。

メンフイス警察に電話すると、エルビス・プレスリーそっくりの声の持ち主の刑事が出てきた。彼によると何者かが何度か嫌がらせをしていて、次第に荒っぽくなっていると言った。
ワンダが手に入れた家はかなり古い家だったが、そんなに値打ちがある家でもなかった。ましてや、いまでは白人が居住するような地区ではないのだから。この家を巡回するパトカーの回数を増やすと言って、刑事が現れた。

現場に来たのは、声も顔もプレスリーそっくりな黒人刑事ガントリーだった。宝石強盗で忙しいので後は頼むと言うのだ。

「お前が来るまでは、ここは静かだった。今はこの辺りは大騒ぎだ。まさに All shook up」
Peter could’t resist「 Anybody tell you You soud like Elvis Presley 」
「Thank you,Thank you very much」Gantry said

強盗事件の被害にあった宝石店はギャングのキングトンが持つ店で、マネーロンダリングのための場所だったとピーターはボスから聞いていた。

そこへ一人の少年がキングの持つ麻薬販売人の前にあらわれ、「キングストンに渡したい荷物を持っている男がいる」と言ってきたのだ。キングストン達はすぐ少年がその人物だと知り後を追い始める。

少年の兄はキングストンに射殺されていた。母親も彼らの売る麻薬中毒で死亡していた。すべてがキングストンのせいで、家族がバラバラになっていた。父親もギャングだったが、キングトンに裏切られ刑務所に入っていたのだ。

その仇を討つために少年は現れたのだ。本当は逃げたもう一人の少年が奪ったブツの処分をするはずだったが、どこかへ逃げてしまった。そこで処分の仕方が分からず、キングストンの部下のところへきたのだ。

ここからの展開はスピーディで面白いです。
ピーターはギャングたち、大男の白人兄弟を相手にするため、戦友のルイスを呼びます。

ピーター、ルイスにギャング、少年ギャング、また麻薬を扱う養豚業者の兄弟、警官が入り乱れてくるのだ。正に西部劇の様な展開なのだ。

ピーターは、彼を「ジハード」と呼ぶ戦友ルイスとともにギャング、養豚業者との派手な格闘、銃撃戦になる。勿論、ピーターと背丈2mの全身入れ墨の白人との素手の格闘も凄い。

そして4作目で初めてピーターの戦友のルイスがただのギャングではなかったことが分かる。
バーの経営をしている表の顔のほか、アトランタ、マイアミ、ヒューストンの黒人ギャングを壊滅させ、その縄張りを握っていたのだ。だから、これまでルイスがいつも、どこでも助けてくれることができたのだ。現金、カード、車、拳銃もすぐに届けてくれたのだ。戦場で黒人ルイスの命を見捨てず救ってくれたピーターは白人の戦士だから。ルイスは「ジハード」とピーターを呼び助けてくれるのだ。。

最後の方の戦いは、ギャングのベンツ装甲車、SUBでの銃撃戦では市民の死者も出るが、車の所有者がいずれも犯罪者で、死亡してしまい、ガントリー刑事は、宝石事件だけ捜査すると言う。ピーター、ルイスがベンツに乗って暴れたことには無関心なのだ。刑事は悪者が二組も消えたのだから、その捜査はしないと。
しかもワンダの家からはとんでもないものが見つかるのだが、、。

まあこれ以上は書きません。読んでください。面白いです。
ペトリが腕を上げたのはわかりますから。
彼は、PPのバーバラ―・ピーターズには特別の敬意を払っています。インディー系の書店の販促のおかげで今日があると謙虚に書いてます。

メンフイスについてはかなり町の通りも正確で、プレスリーや大統領が宿泊した有名なピーボ・ホテル、ロビーにはプレスリーゆかりの品が展示されている。流れる曲もハウンドドッグ、Don’t be Cruel、レイ・チャールス「旅立てジャック」とおなじみのものばかり。

ジョークも増えてきてストーリーに幅が出てきた。

ジャック・リーチャーとピーター・アッシュの違いは、ピーターは戦友、友達を助けるために出かけるのである。
ジャック・リーチャーは、知らない土地でたまたまトラブル、困難に巻き込まれ陸軍関係者の協力を得るところにある(いつも陸軍がリーチャーの存在を監視していると思われる)のだ。

余談
ピーターが金の持ち合わせがないので、ルイスの財布を借りた時、
「金は好きなだけ使っていいが、運転免許証は、肌を焼いて黒人らしくなってから運転しろよ」とルイスは言う。

既にデビュー作Drifterサイン本が最高で150ドルになっていた!(初版2万5千部)

次作も早く読みたいものだ。

Light it up (18年3月30日)、The Drifter(17年3月28日)、Burning Bright (同3月24日)もご笑覧を!
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