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2019年04月03日01:34

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英国の児童書・大好きな劇団を観劇

写真は順に
*ニール・ゲイマン「墓場の少年 -ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活-」 (角川文庫) 表紙
*劇団5454(ランドリー)第13回公演「ト音」当日パンフレット
*「ト音」終演後に出演者の関幸治さんと

カーネギー賞、ニューベリー賞W受賞の墓場の少年は児童文学だけど、大人の私が読んでも楽しめた。
一家惨殺から一人免れ墓場で育てられた少年の物語。

英国の文化に造詣が深かったらもっと楽しめたかな。
殺人鬼「ジャック」、その名前が英国で一般的に持つ意味。
そして英国における霊界の構成、腐肉喰らいのグール族、空を飛びかいグールを襲うナイトゴーント(夜鬼)とか。
しかし何と言っても主人公の名前が面白い。
ノーボディ…肉体が無い、とも取れるし、誰でもない、とも取れる。

人間だけど死者に育てられ、幼少期には墓場から出ることを育ての親(死者)や後見人から禁じられ、社会との接点がなく、おそらく日本で言うところの「戸籍」が無い状態だ。
英国に戸籍があるかどうかわからないけれど。
ジャックは未だに殺し損ねたノーボディを探しているから墓場から外に出ることを禁じられている。
それでも数世紀前に没した死者たちから皮肉なことに生きた歴史を学び、読み書きの教育は受けた。
しかしノーボディもやがて成長して思春期に…学校にもそぉっと通い、生者との交流も始まる。
いつまでも墓場で暮らすわけにいかない。
やがて殺人鬼ジャックと再会するノーボディ。
なぜ彼は執拗に命を狙われ続けるのか。
ジャックの正体とは。
そもそもノーボディとは何者なのか。
読後も気になって答えの出ない重要な登場人物が二人。
墓場と生者の世界を思うままに行き来できる後見人のサイラス。
グールゲートの向こうで神の犬としてノーボディを救ったミス・ルペスク、
彼らはどういう立場の存在なのだろう…今もってわからない。

映画化されそうな魅力ある作品であることは確かだ。

赤坂レッドシアターで観劇。
月曜公演は個人的にありがたい。
中堅劇団の中では一番好きな団体かも。
アクとかクセとか、そういうのがあまりなくてスタイリッシュだという印象を私はいつも感じる。
表現に澱が付いてなくて感情を押し付けて来ない感じも好みだ。
作品は毎回かなりユニーク。
ト音
まじんプロジェクト第3回公演「くれない坂の猫」で好演してくれた関幸治さん所属の劇団さんで、個人的に評価の高い集団である。
作・演出・主宰の春陽漁介さんの脚本はいつもユニーク且つ楽しませて下さる。
とある高校での話。
音の振動が共鳴するとワイングラスが壊れることが実際にあるようだが、音叉に導かれて「音」のことや本音を語らない教師の本心にばかりに気を取られていたら、最後に驚愕の展開が待っていて、考えさせられた。
人間の心理を突く秀作、お見逃しなく。
http://5454.tokyo/
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