mixiユーザー(id:12593070)

2019年04月01日17:45

181 view

当時の最先端のフレーム素材だったCFRP

■当時の最先端のフレーム素材だったCFRP

カーボンファイバーリンフォースプラスチック(CFRP)通称カーボンファイバーです。プラスチックとは樹脂のこと、ここで言う樹脂とはカーボン繊維を接続するというか、製品の形に固める(成型する)樹脂(エポキシ樹脂)と言ったほうがいいのかな。

カーボン繊維も強度や剛性に関わる弾性率や破断特性がどんどん改善されていますが、カーボン繊維やカーボンチップのフレームやエンドなどの小物の成型方法もアップグレードされて、カーボンフレームの製造の世界にも順次採用されています。

初期のルックやアランやビチューのフレームやフロントフォークは、芯金にカーボン繊維を巻きつけて成型して引き抜いたり、外型の中にエアバッグを通したカーボン繊維を入れて、真空引きして気泡を抜きながら、内圧をかけて炉で熱効果処理して成型したチューブを、アルミ合金製のラグと接着する方式が採用されました。

粉体のカーボンチップを、超高圧で成型したカーボンパーツは、F1
などのエンジンパーツにも採用されているテクノロジーで、強度が必要なフロントフォークエンドや、リヤエンド、ハンガーシェルなどに採用されています。

カーボンフレームの成型は、チューブやラグの接着による組み立てから、トレックのOCLVカーボンやジャイアントのTCVカーボンフレームに代表される、ラグとチューブなどを精密一体成型してから接着で組み上げて、オートクレーブなどの不活性ガスが封入された炉に入れて熱処理して、一体成型(モノコック)風に組み上げる、セミモノコック製法に主流が移行しています。

エポキシ系の樹脂で、熱をかけると硬化するタイプ、または常温で硬化するものがカーボンの布地に含まれています。型や芯金にカーボンプリプレグを貼り重ねて、真空引きで樹脂内の気泡の排除を行いながら、ヒーターやオートクレーブなどの炉で加熱するか、常温で放置してカーボンプリプレグを硬化させて成型して製品化します。

強度を発揮するカーボン繊維は、同一方向に繊維を並べて、布状にして、エポキシ樹脂を含ませたプリプレグという布地の状態で、冷蔵庫に保管されています。製品の表面に張り込まれる、カーボン製品らしさを演出するクロスカーボンのプリプレグは、強度メンババーというより、化粧カーボンです。

フレームの金型の形状に合わせてプリプレグからハサミやレーザーで切り出され、カーボン繊維の強度の出る方向やプリプレグを重ねる枚数がコンピューターシミュレーションされていて、金型に張り込まれて加熱処理成型されます。

カーボン繊維の初期のものは弾性率30tで、クロモリ鋼より単位あたりの静成荷重試験では上回っていましたが、鉄のような加工技術や成型技術が確立されていませんでした。最初はレーシングヨットなどの補強材に採用されていたようです。

カーボン繊維の開発された当初は、スチールよりはるかに軽く、高強度というセールストークで、航空宇宙科学に貢献する新素材ということでした。化学繊維を高熱処理して作る繊維系と、石油に含まれるピッチを熱処理したピッチ系のカーボン繊維があります。カーボン繊維が初めてフレームになって市販されたのは40年くらい前です。

アメリカの石油会社のエクソンの近い将来のビジネス展開を模索する開発部門が、カーボン繊維のアピールのために、ステンレスラグとピッチ系のカーボン繊維でカーボンフレームを製造して、採算度外視で市販したようです。

当時のピッチ系のカーボン繊維は弾性率も低いし、繊維方向をどう並べれば自転車フレームのねじれ特性などに対応できるかも研究が不足していて、乗ってみたらグニャグニャのものでした。これが、伝統あるクロモリフレームの性能に追いつくのは大変だなーと感じました。

しかし、2019年には20万円以上のスポーツバイク完成車は、カーボンフレーム化していて、フレーム単体で25万円以上のモデルは、1000gを切り、カイセイの022クラスや丹下のナンバー2クラスの、クロモリの0、9mm肉厚クラスのフレームの剛性を上回っているモデルもあります。現実はこうなっているわけです。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する