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2019年02月08日14:10

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トランプの中東政策は機能するのか?

ワシントン・ポスト紙のニュース・レターで興味ある記事をみつけましたので、要訳してみました。こちらのメディアでは余り取り上げていない事なので、ご参考まで。
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トランプ大統領は火曜日の一般教書演説で、彼が先日下して論議の的となった二つの外交政策上の決定について語っています。一つはシリアからの米軍の撤退、もう一つはアフガニスタンからの米軍撤退のためのタリバンとの平和交渉です。

演説で「偉大な国家は終わりなき戦争などやらない」と言いながら、大統領はアメリカが終わりなき戦いを続けているもう一つの国、イラクについてはもっともらしく言い紛らしています。

米軍のイラク侵攻から既に16年の長期に亘る駐留が続き、今でも5,200名の米軍兵士が駐留しています。
イラクに関しては大統領からは撤退計画の話しは出ていません。それどころか「もしシリア情勢が緊迫して再度シリアに戻る必要が生じた場合、イラクは重要な拠点となる。」と語っています。ところが当のイラクは米軍の駐留にはもううんざりだというのが正直な心境のようです。
このことは、「イラク駐留の米軍は隣国イランの動向の監視になる。」という大統領の発言で、にわかに注目を浴びることになりました。
大統領はこの日曜日のCBSのインタビユーで「イラク駐留は続けるべきです。イランの動向を注視したいからです。イランは問題が多い国です。」と答えています。

一方、イラクのサリ大統領はこの発言に即座に反対しています。「これは認める訳にはいきません。われわれは近隣諸国のいかなる紛争の当事者になるつもりはありません。米軍はあくまでテロとの戦いの為に駐留を認めているのです。」
これを受けて、翌日イラクのマーディ首相は「米軍の駐留がイランなどの隣国との争いを目的とするなら、われわれは直ちにかれら駐留を拒否します。わが国の憲法はそのような行為を禁止しています。」との声明を出しました。

2003年の侵攻以来、アメリカはイラクに大規模な軍隊の駐留を続け、ピークの2007年には17万人に達しています。その後オバマ政権は米軍駐留に関するイラクとの協議をまとめることが出来ず、2011年末までに米軍を撤退させました。

ところが、2014年にISがシリアとイラクに侵攻しイラク北部の主要都市が占領されるに至り、イラク政府はアメリカに助けを求めてきた結果、米軍は再びイラクに戻ることになりましたが、もちろんその目的はテロ対策に限定されている事実は、米軍高官も認めています。
駐留米軍トップのヴォテル将軍は「われわれのイラクにおけるミッションはイラク政府がわれわれに駐留を要請してきた事象に限定されている」と火曜日の上院軍事委員会で明確に証言しています。

アメリカ、イラク両国の間には米軍駐留に関する地位協定は存在せず、イラク政府の要請に基づく駐留であることは明白です。
ところがトランプ大統領にとっては、米軍のイラク駐留はイランを監視するために好都合なことなのです。現政権の対イラン政策は、トランプ大統領が言う通り、危険で紛争発生の可能性が高い国で、押さえつけておかねばならないというスタンスです。一方、イラク政府のスタンスはもっと複雑です。

イラクの現政権のスタンスは、アメリカとイランの紛争に巻き込まれないことでしょう。イランはイラクより遥かに強力な国だからです。マーディ新首相はシーア派の人気司祭アル・サドル師の支持を受けており、そのサドル師はアメリカにもイランにも批判的な人物です。

トランプの発言は、イラク議会で反米色の強いグループが、イラクにおける米軍の活動停止、もしくは全ての米軍をイラクから追い出すという法案の採決を強く要求している最中の発言だったのです。
12月にイラクの米軍を訪問した際に、トランプ大統領が前例を無視してマーディ首相と逢っていなかったことも事態をこじらせています。もしイラクが駐留米軍を放り出す事態になったら、トランプ大統領はどう反応するだろうか?大統領は以前から「終わりなき戦い」と米軍の海外派兵に批判的な発言をしてきました。

しかし乍ら、トランプ政権はシリアの場合と同様に、中東問題の解決、米軍の海外派兵の縮小、ISの制圧、イランの抑え込み、など全ての政策を同時に成立させるのは無理だと悟ることになるのでしょう。


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