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2019年02月08日00:01

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い…生き長らえ

2月9日:漫画の日
漫画本専門古書店「まんだらけ」が制定。
漫画家・手塚治虫の命日。

何度も何度も何度も書いている。

丁度、元号が昭和から平成に変わったばかりのある冬の日、出張中に宿泊していた小さなホテルのレストランで朝食後のコーヒーを啜っていたとき、棚の上のTVがそのニュースを伝えた。

俄にニュースの伝える意味が理解できなかった。

冷静になってくると、急激に喪失感が膨らみ始めた。
不謹慎ながら、天皇陛下の御崩御よりも私にとっては衝撃的な出来事であった。

未来の情景のデ・ジャヴュを私に授けてくれた「マンガの神様」は昭和を駆け抜け、21世紀を待たずに宇宙の彼方へ旅立ってしまったのだ。

1989年(平成元年)2月9日、手塚治虫、胃がんのため半蔵門病院にて死去。
1928年(昭和3年)11月3日生まれ、享年60。

あぁ、それももはや30年の時の彼方。
昭和に大きな夢と希望を送り、昭和と共に去って行った巨匠。

その手塚の死後12年、21世紀となった年に手塚の愛弟子が創り上げた映画が“メトロポリス”
手塚治虫1949年の作品の映画化。
同名映画にSF史上傑作の誉れ高いフリッツ・ラングの作品もあるが、手塚の作品はフリッツ・ラングとは全く関係がない。
原作は貸本文化華やかりし頃?に書かれた物で、確かに古い。
しかし、その言わんとするところは決して色あせてはいないと思う。

本作はジャパニメーションの粋を集めた傑作である。
スタジオ・ジブリも傑作揃いで大好きであるが、アレが全て、ではないのだ。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=18466543&owner_id=258708&full=1
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(よっぽど好きなんだな、私…命日の日記以外にも何度も触れている)

映画において、映像はもちろんだが、その視覚と対になる音楽の重要性は見逃す訳にはいかない。

これはとにかく、音楽が渋い。
「レイ・チャールズ、ここで使うか??」って…ゾクゾクするほどであった。
挿入歌に使われているブルース「St.ジェームス病院」木村充揮(優歌団のボーカル)も象徴的。
音楽担当はジャズの本田俊之だが、センスが光っている。
勿論映画も凄い出来である。イチオシお奨め。

数年前の封切館の座席、クライマックスで、私は実際、身震いをしてしまった。そして、泣いた…
レイ・チャールズが使われているのは予備知識で持っていたが、あの場面でこの歌が流れるとは…

I Cant Stop Loving You(愛さずにはいられない)
と言う歌詞が、SE技術を駆使した壮絶な炸裂音よりも人の心に直撃を与えるのだ。
鳥肌が立つほど凄い、そして哀しいシーンである。

クライマックス前、途中で流れるブルースのSt.ジェームス病院(唄:木村充揮)もストーリーを象徴する凄い使い方だと思う。
(今日はあの娘の亡骸に 会いに来たのさ St.ジェームス病院)

音楽はジャズミュージシャンの本多俊之で、本作のために書かれた?曲も、挿入歌として使われた上記も素晴らしい。
全編を流れるディキシーやスイングのジャズが底抜けに明るいように見えて、実はその裏に悲しみを秘めているように思えた。

公開当時、公式サイトのBBSで「音楽が安っぽい」という書き込みを読んだ。
書き込み主は「オーケストラバックで育ったアニメファンとしては…」みたいな事を書いていらしたが…
う〜む。
はじめた食べたフレンチのフルコースだけを唯一無二最高と思いこんでしまっているような…

メトロポリス:METROPOLIS
監督 りんたろう
音楽 本多俊之
主演 井元由香
助演 小林桂
製作年 2001
シナリオ 大友克洋
原作 手塚治虫

そう、2001年作品だから、もう18年も昔…

手塚の愛弟子達は、原作を全く違った形で、しかし原作を殺さずに現代に生き返らせたと評価して良いと思う。
設定はブレードランナー以降の類型的近未来ではあるのだが…
世界観を手塚が描いた「1950年代の想像による未来」のママにしたのが成功だったのだ。

で、ラスト。
エンドロールのあとに救いが残る、と言う作風も好ましい。
(エンドロール最中に席を立つ観客は最低だ)

ともあれ、この作品は音楽を見ろっ!







映画ではティマとなっている主人公は、原作ではミッチィと言う名前のスイッチ切替式の両性具有だった。
このミッチィはまさに、後のトビオ--アトム、サファイア姫の原形だと思われる。

劇場だったら、多分、また泣く。
クライマックスで当然ドルビー5.1ch.の大炸裂音が来る!
と、身構えたところに、一瞬の無音の後、レイ・チャールズなのだから…

あ、思い出したらまだ背中がぞくっと…

レイ・チャールズ(Ray Charles Robinson, 1930年9月23日 - 2004年6月10日)。
アメリカ合衆国・ジョージア州出身のR&B歌手でピアニスト。

盲目というハンディを背負いながらも、リズム・アンド・ブルースや、ゴスペル/黒人霊歌やジャズなど、黒人である自らのルーツを遡っていくような音楽活動の中で、自分の魂を歌うという「ソウルミュージック」の形を自らで実証し、「ソウルの神様」と呼ばれるほど、その方面でのカリスマとなった。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第2位。

映画“メトロポリス”ではレイ・チャールズの“I Can't Stop Loving You(愛さずにはいられない)”が極めて効果的に使われていたが、彼の数多い代表曲の一つに“Georgia On My Mind(わが心のジョージア)”と言う名曲がある。
彼はジョージア州が行う黒人差別に反対し、同州でのコンサートをキャンセルしたため、それ以来ジョージア州は長くチャールズを追放していたが、1979年4月24日、ジョージア州議会は追放を撤廃、“Georgia On My Mind”を正式な州歌と定めた。と言う話が残っている。
また、1989年には、サザンオールスターズの“いとしのエリー”をカヴァーしたことで日本で話題になる。

2004年にテイラー・ハックフォード監督“Ray/レイ”でジェイミー・フォックスにより彼の伝記が演じられ、その中でも描かれているが、音楽家としては優れていたが、人としてはかなりの紆余曲折を経た人物だったようだ。

レイ・チャールズ、2004年6月10日に肝臓病で死去。73歳。楽しみにしていた自分の伝記映画の完成を見ることはなかったと言う…
コメント

手塚スター・システムの中でも伴俊作氏は最も人気がある個性派脇役。

と、言うわけで、このメトロポリスでも、伴俊作氏は大活躍。
と、言うよりも、完全に主役喰ってるな。


しかし、漫画の神様享年60…
60歳なんて、ずっとずっと先の事だと思っていた。
とんでもないジジイだと思っていた。

私はその年をとうに過ぎてしまった。

一体私は何を成した、残の人生で何が成せるのだろう…

(大幅加筆再放送でお送りしました)
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