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2019年01月06日21:26

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映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見る

mixiやTwitterなどで話題になっている映画、
「ボヘミアン・ラプソディ」を観に行った。
(TOHOシネマズ 梅田 1月4日)

題名からわかるとおり、ロックバンドの「クイーン」の
ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの伝記映画である。

クイーンの音楽の素晴らしさと、それ以上に、
フレディ・マーキュリーの、苦難に満ちた人生に
大きく心を揺さぶられた。

これからこの映画を見る人もいるだろうから
ストーリー等を書くわけにはいかない。
そのため、音楽と、以前見た、同じ音楽家の伝記映画
「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」との
共通点について書いてみたい。

初期のクイーンが、小さいライヴハウスのステージに立ち
「キープ・ユアセルフ・アライヴ」を演奏するのだが
イントロが始まった途端、ゾクゾクするような興奮を覚えた。
クイーンは、デビューからブレイクするのに時間がかかった
バンドだが、この曲のように、荒削りだが、ギラギラするような
熱いフィーリングこそ、初期クイーンの持ち味だろう。

あとで調べると、映画で使われたライヴ音源は、
「レインボー・シアター、ロンドン、1974年3月31日」
とある。
これは自分が持っているLP「Sheetkeeckers」に入っている
のと同じ演奏だ。
映画の音響の凄まじさに、ぜんぜん気づかなかった

名盤「オペラ座の夜」からは、「ボヘミアン・ラプソディ」も
さることながら、それ以上に
「ラヴ・オヴ・マイ・ライフ」に感動した。
歌詞の内容は、失恋と孤独の中で、必死に救いを求める
というものだが、これはきっと、フレディの心の叫び
そのものだろう。
この曲を聴きながら、フレディはなんという救われない人
なんだろうと思わずにはいられなかった。
性的マイノリティの生き難さにスーパースターの
孤独が重なり、これほどの苦難に満ちた人生も稀なのでは
ないか。

「ボヘミアン・ラプソディ」は、バラードで始まり、
アカペラコーラスで盛り上がり、クライマックスで
ハードロックに流れ込むという構成が見事だ。
何度聴いても身体が熱くなる。

映画のクライマックスとなる、ライヴエイドの演奏では
「ハンマー・トゥ・フォール」がベストだ。
無駄な力の抜けた、円熟のロックンロール。
「キープ・ユアセルフ・アライヴ」と比較すると
同じバンドでもここまで変化するのかと思うほどだ。

この映画のキャストは、クイーンのメンバーはもちろん
登場人物全員が、いわゆる「そっくりさん」なのだ。
昔「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」を観て
ジャクリーヌとバレンボイムが本人とそっくりなのに
感心したことがあったが、「ボヘミアン〜」では
フレディの愛人の男性とか、ライヴエイドの主宰、
ボブ・ゲルドフまでがそっくりさんなのには驚いた。
そこまでやるかという感じ。まさに執念だ。

「ほんとうのジャクリーヌ」でも、描かれているのは
天才チェリストの孤独と病気。その絶望の中で
必死に生きる芸術家の姿である。

スタンダールの「生きた、愛した、書いた」とか
トスカの「歌に生き、愛に生き」が、マリア・カラスと
一致するとか、いろいろあるけれども
真の芸術家の人生とは、結局、そういうものではないか、
そう思うのだ。

久し振りに素晴らしい映画を観て、その興奮冷めやらぬと
いうのがいまの心境だ。
興味ある方は、ぜひ映画館に足を運んで欲しい。

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