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2018年11月09日05:54

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成人発達の理論

ロバート・キーガンが唱える「成人発達理論」は、最近、組織の開発や人材の開発において注目を集めています。人間は成人してからも成長を続けていると言う考えのもとで、多様性の中にありながら、内面をいかに成長し、成熟させていくかが主なテーマとなっているので、人材の育成や組織の開発に役立つ理論だというのです。

成長には「水平的な成長」と「垂直的な成長」の2種類があると言います。水平的な成長とは、知識やスキルを獲得するような量的な成長のことを意味します。これに対して、垂直的な成長とは、人間としての器自体が広がって、人間性が深まっていくような質的な成長を指しています。

両方とも大事なことではありますが、水平的な成長にばかり目が向けられる傾向もあります。垂直的な成長を伴わないと、新しい知識を得ても、仕事や日々の活動に活かすことが難しいようです。垂直的な成長の段階は大きく5つに分けられます。最初の発達段階で具体的試行段階で言葉を獲得したての子どもに見られます。

次に発達段階は、道具主義的段階で利己的段階です。成人の10%程度にこの段階の人が確認できます。極めて自己中心的な認識の枠組みを持ち、自分の関心事項や欲求を満たすことに焦点が当てられています。発達3段階目には他者依存段階で慣習的段階です。成人の70%にこの段階の人が確認できます。

組織や集団に従属して、他者に依存する形で意志決定を行います。また、自らの意志決定基準をもっておらず「会社のきまりで」「上司がいっているので」などという言葉を多用する傾向があります。他者及び組織や社会の基準によって自分の行動が規定され、組織や社会のきまりごとに従順であるといえます。

発達4段階目は自己主導段階です。成人の約20%にこの段階の人が確認できます。自分なりの価値観や意志決定基準を設ける事ができ、自立的に行動する事が出来ます。自己成長に強い関心があり、自分の意見を明確に主張する事が出来ます。

発達5段階目は自己変容、相互発達段階です。この段階に到達している成人は1%未満あるとされています。自分の価値観や意見にとらわれることなく、多様な価値観や意見などを汲み取りながら的確に意志決定ができます。自らの成長に強い関心を示すことはなく、他者の成長に意識のベクトルが向かいます。

部下を育てるのに適した階層であるといえます。他者が成長することによって、自らも成長するという認識、相互発達があります。サラリーマンである大多数の人は、上司の意見には従うものの、自分の意見がない、といった発達3段階目で止まってしまっていて、その多くの人達がそのまま定年を迎えているといえます。

一方で、部下を育てる立場にある人は、発達5段階目に近づいている必要があります。この段階に達するには何が必要となるかといえば、発達4段階の課題をクリアしておく必要があります。段階4で、自分なりの価値基準を持ち、自律的に行動できるかが問われます。

その上で、段階5に到達できるかどうかは、葛藤を経験しながら、それをいかに乗り越えていくかにかかっています。キーガン氏が指摘しているように、垂直的な成長を遂げていくには、取り巻く他者や環境からの支援を受けながら、自分の価値観と相いれない人と出会い、時にぶつかりながら、向き合っていくことが重要になるのです。

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