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2018年11月02日15:47

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家庭内創作のススメ。(再録)

ボイスにも書いたが、歴史評論家をしておられた檀家が亡くなり、納骨も無事に終わり、遺族の皆様方と居間でお会いした際、奥様から檀家の所有していた大量の書物などを寄贈したいとの申し出を頂き、ありがたく受け取ることにした。
で、受け取ってみるとやはりどれもこれも歴史関係の本で、江戸城の古地図なんてのもあったからこんな大金にかえられそうなものを頂くのは気がひけると連絡したところ、奥様は夫の遺志ですからと笑った。それよりも創作ノートをごらんになって下さいませ、実はあれが新門さん(私のこと。住職とは違う直系への呼び方)に見て欲しかったものなんですとおっしゃるので、本のなかに混ざっていた、すりきれた大学ノートを数十冊手にとってぱらぱらとめくってみた。
檀家が自分の子供たちが歴史に興味を持ってくれるようにと、余暇を活かして書き綴った歴史小説で、しかも大久保利通が自分は実は14世紀に生まれたイタリア人だと告白して、ルネッサンスの世からいかにして日本へ流れてきたかを延々と物語る、奇想天外なSF、いやポオのそれに匹敵する幻想旅行記であった。それがいちいち史実と照らし合わせてあるので、子供たちは読んでいて何を感じたのかを追体験することが出来た。

こういう、全くの趣味、家庭内限定での創作はいかに密度が濃いものであるか。

私は何とも言えぬ感動を覚え、あらためて創作の何たるかを考えさせられた。出版社に売り込んで日々の糧を得たり、賞をとって名誉を授けられたりするのが作家の目指すべきものなのだろうか?売れなければ意味がないと考える輩を私は嫌悪する。まずそこから出発するような連中はたいてい作家にふさわしい想像力がないからだ。

まず想像力があって、物語は始まる。その物語をいかに読者と共有出来るか。それが出来るか出来ないかで作家としての存在は決まると思う。

そして檀家の遺したものは、人間であれば誰もが作家になれることを証明している。我が子のために物語を紡ごうとする行為は、限りなく自然だからである。絵本を買い与えるだけが親ではない。世界がどのように見えるかを導くのは親の役目なのだ。

もしあなたに今幼い子がいるならば、家庭内創作をオススメする。そしてあなたに子がいなければ、子供たちの誰かに読んでもらうために自分なりの家庭内創作をススメたい。その書き方に愛はあるか。そういうことだと心の底から思う。

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