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2018年10月19日11:44

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ジャマル・カショギ: 今アラブ世界が最も必要としているのは、表現の自由だ

昨夜入ったワシントン・ポスト紙のニュースレターが事件の渦中の人、カショギ氏の最後の寄稿文を紹介していますので、概要ご紹介します。先ず、カショギ氏の最後の寄稿文の背景を紹介する、彼の友人のアッテア氏の寄稿を載せています。
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国際的オピニオン・エディターのカレン・アッテア女史からの寄稿。
「カショギ氏がイスタンブールで消息を絶ったという一報の翌日に、彼の翻訳係のアシスタントからこの記事を受け取りました。当初ワシントン・ポスト紙はカショギ氏が戻ったら一緒に編集したいとして記事の発表を渋りましたが、彼が戻る望みは断たれという現実を受け入れざるを得ない事態になりました。
この記事には彼のアラブ世界での自由にたいする揺るぎない信念と情熱が溢れています。
文字通り彼が命を懸けた自由です。一年前に彼がワシントン・ポストを意見発表の場に選び、われわれが一緒に仕事ができた事に感謝します。
Freedom Houseから出た”世界の自由2018“で世界の厳しい現実を読んで実感しました。
アラブ世界で『自由』と位置づけられているのは唯一チュニジアのみ。辛うじて『一部自由あり』がヨルダン、モロッコ、クエイトの三国だけで、あとのアラブ諸国は全て『自由なし』です。
その結果、これらアラブ諸国の市民は情報を与えられないか、間違った情報しか受けていないのです。アラブの人たちは適切な発言の機会も能力もなく、自分の身の周りと日々の生活に埋没しているのです。国家が発っする情報が市民の精神に浸透し、疑問に思っている人がいても、大多数が国の誤った情報の犠牲になっているのです。不幸にも、この状態は続くでしょう。

アラブ世界は2011年の春、ジャーナリストも学術界も多くの庶民も自分たちの国が明るく自由なアラブ社会になるという期待に胸を膨らませました。かれらは政府の束縛や検閲による情報制約の束縛から解放されることを夢みたのです。だが、この希望は間もなく消え、みんな元の状態に戻るか、更に厳しい現実に直面する結果に終りました。アラブ諸国の政府は更に強力なメディア弾圧を続けることになったのです。彼らはインターネットを遮断し、ジャーナリストを逮捕拘束し、広告も制約しているのが現状です。

行方不明になる直前に残したカショギ氏のワシンントン・ポスト紙への寄稿文を紹介します。」

アラブの春の精神を体現しているアオアシスはまだ皆無ではない。カタール政府は国際ニュースの放映を支持し続けている。だが、その周辺諸国は旧態然たる「古来のアラブ秩序」の維持のために情報操作に懸命だ。チュニジアやクエイトですら、報道はやっと「一部自由あり」と認められているが、報じられているのは身の回りの話しばかりで、他のアラブ世界が直面している諸問題には目を瞑っている。彼らはサウジやエジプトやイエメンのジャーナリストたちに討論の場を与えることに躊躇しているのだ。アラブ世界の希望の星であるはずのレバノンですら、報道の自由に関しては親イランのヒズボラの影響で偏向を余儀なくされているのが現状だ。

アラブ世界は自分達独自の「鉄のカーテン」をひいてしまっている。外部からの要因ではなく、権力にしがみ付く内部の勢力のせいだ。
冷戦時代に、「自由欧州ラジオ」が自由への希望を燃やし続けるために大事な役割を果たしていた。
アラブ諸国でも同じような活動が欠かせない。
1967年にNYタイムズとワシントン・ポストがInternational Herald Tribune紙の共同オーナーになり、世界各国からの声に討論の場を提供し続けることができた。

わたしの意見を出版してくれるワシントン・ポスト紙はわたしの原稿の多くを英訳し、またアラビア語でも紙面に掲載してきた。とても感謝している。アメリカや西欧の民主主義諸国が直面している複雑な諸問題を正確に理解するためには、アラブ人たちは自分たちの言語で読む機会を与えられることが大事だ。
アラブ世界が世界の情勢を正確に知るためには、新らしいメディアの構築を必要としている。
そしてもっと大事なことがある。アラブ人の声を生かす討論の場の提供である。
アラブ人たちは貧困と国家管理の失敗と教育の荒廃に悩まされてきた。
プロパガンダで憎悪を拡げる現政権の悪影響を受けない、独立した国際フォーラムを構築して、アラブ社会が直面している構造的な社会問題について、一般のアラブ人が自由に意見を述べることが出来るようにしたいと願っている。



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