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2018年10月10日17:40

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魔笛@新国立劇場

新国立劇場新シーズンのオープニングは、芸術監督一押しの魔笛
説明会でもプロジェクションを使ったW.ケントリッジの演出に乞うご期待でした
でも事前に拝読した東条さんのコンサート日記によると、それほどでもないという評
ワタシはMETでのショスタコ「鼻」は予告編でしか観ていない、それでも雰囲気は
あれとよく似ていました

本日購入した公演パンフで演出家ノートを拝読しましたが、翻訳によるものなので
イマイチ頭に入ってこない、翻訳のせいなのか原文も難解なのか
ケントリッジ氏おっしゃるところの映像は確かに出てくるのですが、だから何?という
感じでした

黒板にチョークで画を描く、それがコンセプトのようで、曲線は天文学かな(惑星の
軌道)、直線は物理学(光とレンズの図示)
どうもザラストロの光と、夜の女王の闇を表しているのではないか
よくわかりませんでした
野生のサイを猟銃で撃って捕獲する映像は、どういう意味があるのか謎です

当日の観客の反応はというと、客席あるいはホワイエでの会話によると
「このオペラっていつ頃できたの?」
「歌詞ってイタリア語だった?」
「この間見た、男の人が最後に銃殺されるの、何だっけ?」
こんな感じですから、演出家が謎かけをしても空しいばかりです

ワタシも、このオペラはシカネーダのキッチュな見世物小屋が基本にあり、ことさら
フリーメーソン思想なんか表立っていないという解釈なので、あまり突き回さない
方がいいのではないかという意見です
なので、深く考えませんでした

演奏のことで言いますと、冒頭の三つの和音(これがフリーメーソンの象徴)
意外と短く、続いてのアレグロもかなり速いテンポです
本日の演奏は、とにかく速い
ところどころ歌い手がついて行けないころもあって(あるいはそのため速く
歌おうとして走り気味で)、オケとずれたところも何か所かありました
今日が初日でもなかろうに、合点がいきません
それほどわかりにくい指揮とも思えませんでしたが

声楽陣はそつのない、といいましょうか、男の主役は外人組、女性は日本人という
キャストで、特に海外から招へいするほどのこともなかったんじゃないの、という感想
まぁ、ザラストロのカヴァーは長谷川顕さんで、彼のピッチの悪さを考えると、すべて
妻屋さんに頼るのも問題なので、これはこれで良かったかなという程度でした

夜の女王の安井さんは、東条さんは絶賛していましたが、第一幕の方のアリアは
良かったんですけれど、第二幕の方はハイCの連打が心持ちフラットぎみで、最高音の
Fも出てはいるもののぴしゃりと当たっていない感じがしました

東条さんは書かれていませんでしたけれど、セリフの部分はピアノが(チェンバロでは
なく)サポートしておりました
これは初めて聞く演奏形態です(ちょっとナクソス島のアリアドネを思わせます)

劇中タミーノが「魔笛」で演奏するのが、先日も新日フィルのロビー演奏で聴いた
フルート四重奏曲の第2楽章で、これは心に沁みました(パミーナに対して心ならずも
すげない態度をとっているタミーノの心情というところでしょうか)

今まで気づきませんでしたが、ザラストロのセリフに「女王といっても女だから浅はかで」
というのがありました
フェミニズムの人が聞いたら黙っていないでしょうね
今回の演出で衣装は19世紀末から20世紀初頭のイギリスのもので、三人の侍女は
当時の婦人参政権を主張する「サフラジェット」を表しているのだそうです
ディズニーのミュージカル映画「メアリー・ポピンズ」の中で、バンクス夫人が
「Well done Sister Saffragette」と意気軒高に歌っていましたが、あれですね
そうだとすればザラストロのこのセリフは、はなはだ興味深い

問題提起は(もしあったとすれば)色々ですが、どうにも消化不良で終わりました
これから演出ノートをもう一度熟読玩味いたします(わっかんねぇだろうな)

今作がシーズン幕開けなので、エントランスにはいつものように勅使河原茜さんの
ウェルカム・フラワーが飾られておりました

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