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2018年09月09日23:07

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「運命」第1楽章〜ファゴットかホルンか

9月4日、台風の来る前は本当に不安だった。
そもそも大阪で、台風で電車が止まり、そのまま
翌日まで運転再開しないなんてことは
滅多にないことだ。

どんな規模の台風が来るのか、検討もつかないなか、
自宅で待機していた。

ちょっと後悔しているのは、
雨戸をぜんぶ閉めてしまったこと。
台風の様子がわからない。

猛烈な風が襲って来ると、
厄介なことに、電気がついたり消えたりする。
これでは何もできない。

1時間ほどたって、電気が安定してきたので
PCを起動して音楽を聴いた。

以前から気になっていたのだが、
ベートーヴェン「運命」第1楽章の再現部で
ファゴットが
「ソソソ、ドーレーソー」
と、吹くところ。ここは
「せっかくの緊張感が台無し。ずっこけるような音」
という反論から、ここをファゴットでなく
ホルンに変更することが多い。

そこで、YouTubeや、手持ちのCDを聴いて、
有名な運命の録音で
この部分を、楽譜通りのファゴットか、
力強いホルンに変更しているのか調べてみた。

SP〜モノーラル録音(1927年〜1956年)

○ワインガルトナー(1927年)ファゴット(楽譜通り)
○トスカニーニ(1939年)ホルンに変更
○トスカニーニ(1952年)ファゴット(楽譜通り)
○フルトヴェングラー/BPO(1947年)ホルンに変更
○フルトヴェングラー/VPO(1954年)ホルンに変更
○メンゲルベルク/コンセルトヘボウ(1940年)ホルン
(わざわざテンポを落として「ホルンに変更したぞ!」という
 感じが面白い)
○ワルター/NYP ファゴット
○シューリヒト/パリ音楽院管 ホルン

ステレオ
○クレンペラー/フィルハーモニア ファゴット(ステレオ最初期)
○セル/クリーヴランド ホルン

○カラヤン/BPO(60年代全集盤)ホルン
○カラヤン/BPO(70年代全集盤)ファゴット
○カラヤン/BPO(80年代全集盤)ホルン

(ステレオ 老大家)
○ベーム/VPO ホルン
○ヨッフム/LSO ホルン

70年代〜 (中堅、若手)

○ショルティ/シカゴ ファゴット
○C・クライバー/VPO ファゴット
○ハイティンク/コンセルトヘボウ ファゴット
○小沢/ボストン ファゴット
○アバド/VPO ファゴット
○ムーティ/フィルハーモニア ファゴット
○ラトル/VPO ファゴット

調べてみて、わかったことは
昔の録音(SP〜モノラル〜ステレオ初期)では
ファゴットより、ホルンに変更したものが
はるかに多いのだ。

それが、1970年以降、逆に
楽譜通りのファゴットばかりになる。

楽譜通り、原典版通りの傾向が
はっきり現れている。

細かく見ると、トスカニーニがホルンで録音した後
再録音ではファゴットに戻している。
彼はスコア通りを提唱した人であるが、
彼も、この部分は抵抗があったのだろうか?

面白いのは、カラヤンが
60年代にホルンで録音したあと、70年代では
ファゴットに戻しているが
最後の録音では、またホルンに変更している。
ここらへんは、迷いなのか。
70年代の録音でファゴットにしたのは
当時の原典版演奏の流行に乗ったものなのか。

作曲家の佐藤眞氏は、この部分について
「ベートーヴェンが今生きていたらホルンにしただろう」
と言っている。
そういう視点が大事なのではないだろうか?
アバドや小沢やムーティが、この部分について
独自の視点を持っているとはとても思えない。

台風が過ぎ去ったあと、家の被害を調べてみた。
ベランダの屋根が半分ほど割れて、吹っ飛んでしまった。

3ヶ月前の地震につづいて、今年2度目の被害である。
ベランダの屋根はペナペナの薄いものなので
大した被害ではないが、それでも買い換えて
取り付けなければならない。
考えるとうんざりする。

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