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2018年08月08日15:40

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ワイルド7 二次創作 新ワイルド7最終章 第一章 ブラッディ・クロス ��

グルジア、港湾都市ポチ。聖ゲオルギオスの日(十一月二十三日)。
沖の黒海をアメリカの国歌を掲げた輸送船が進み、その後部デッキで飛葉、クロス、画竜、マックが丸テーブルを囲んでタバコを吸ったり、コーヒーを飲んだりしている。
デッキに続く部屋では、リープヒェンが天田、馬力を相手にロシア語、グルジア語の講座をしているところである。
「ハイ、もう一度!!me iaponeli var(私は日本人です)!!」とリープヒェン。
「メ・ヤポネリ・ヴァル・・・!!」と異口同音に天田と馬力。

それを見てニヤッと笑い、クロス、飛葉に「英語だけじゃなく、ロシア語、そしてここ数日の船旅でグルジア語までマスターしちまうなんてナ・・・」と声をかける。
飛葉、「ああ、驚いたか?」とニヤッと笑い返す。
肩をすくめるクロスに変わって、画竜、「あんたは過去、色んな国に出向いてるから色んな言葉を覚える機会があったのさ・・・そのへんが下地になってるんだな」と言う。
「奇妙なもんだ、言葉は覚えてても、国そのものはフィリピンとかタイ、ロシア、アフリカくらいしか覚えてねえとは・・・」と飛葉。
「随分行ってるじゃん!!」とマック。
「何と、アラブにも行ったことがあるんだぜ」とクロス。「この際だから打ち明けるが、おめえを東南アジア経由でバイクごと行き帰りの世話したのは俺さ。当時はまだ香港国際警察の特捜官だったがな・・・最も、チョクでは会ってないがね。これには驚いたかい?」
「別に」と飛葉。「おめえとは前世から腐れ縁だったとしても驚かねえよ」
そこで、画竜、あらためてテーブルの上に写真を置く。

「秘熊元首相・・・」 

「一年しか首相をやっていなかったとはいえ、かつて日本を軍事政権の復活に導いた男・・・何度も見ただろうが、もう一度よーく見てくれ・・・何でもいい、チラッと思い浮かぶものなら何でも・・・」と画竜。
飛葉、写真で禍々しい笑みを浮かべて会釈している秘熊をじっと見つめ・・・ふいに、目の前の画竜がかつて向かい合った陸上自衛隊の幹部の顔と重なる。
「画竜・・・自衛隊にいた・・・?」
「オッ、その通り!航空団長だった・・・それから?」
その幹部の顔がまたぶれて、今度は旧ワイルドのヘルメットに革ジャンの、ハーレーに乗った世界の顔と重なる。
「・・・世界?」
そこで、画竜、グッと言葉に詰まり、飛葉の手を強く握る。
「世界は弟だ・・・それから?」
そこで、飛葉、ウウッと顔をしかめる。
「そこまで!!これ以上はまずいよ!!」とマック。
薬を手渡されて水で飲み下す飛葉をみんなで見守ると、デッキに船員に案内されて、二人のグルジア政府高官が現れる。
一人は20代後半の美女、もう一人は三十代のガッシリした青年である。
「gamarjobat.(こんにちは)」
みんなも「ガマルジョバット」と返す。
「私はニノ・アナニアシヴィリ、こちらはダヴィット・シェヴァルドナゼ。みなさん、グルジア語がお上手ですのね。こちらも日本の方がみえられるということで、日本語を特訓しました。ヘンに聞こえていなければいいのですが・・・」と美女。
「いや、そちらもお上手ですヨ!!素晴らしい!!」とクロス。
クロスの差し出された手を見て、それからクロスを顔をじっと見つめ、おもむろに握手して、「didi madloba.(どうもありがとうございます)」とそっけなく母国語で言う。
「早速ですが、耕耘機を拝見・・・」
「私が案内しましょう」と画竜、二人を連れて船倉へ降りていく。

回想シーン。

片足を切断した草波が横たわるベッドを飛葉以下、七人のメンバーが囲む。
「ODA、政府開発援助の一団として行かせる・・・おまえらは食糧増産援助のうちの農業技術指導員及び耕耘機輸出担当として登録が済んでおる・・・リープヒェンだけは外務省直属の通訳だ・・・」と草波。
「俺、農業なんてやったことねえよ!!田植えとかイモ掘りはやったことあるけど」と天田。
「それが出来りゃ十分だ・・・バイクと銃器は耕耘機の部品として運び込む・・・現地でドイツの情報機関BNDの協力を得られるように手配してあるから、情勢を見て素早く行動して任務を遂行しろ・・・」
そこで草波、飛葉の目の奥を探るように、じっと見つめる。
視線を逸らさずに、声を低く、かつ鋭くして言い放つ。
「BNDから派遣されるメンバーのチーム名は、『ケルンの騎士』・・・!!」

その符牒として手渡された、ケルンの騎士のコインをポケットから取り出し、手のうちで弄びながら飛葉、どこかで見たような・・・と記憶の海に思いを巡らせる。
「どオした、飛葉ちゃん、シケたツラしてねえで、メシ食いに行こうぜ」と馬力。
「授業は終わったのかイ?」
「ダメ、ダメ、おらァ、ドイツとかオーストリアにピアノで留学してたからドイツ語は得意だけど、グルジア語ってなァ、手強いぜ」と天田。
「何、おめえ、ドイツ語出来んの!?じゃア、日本語しか出来ねえの俺だけ!?」と馬力。
「頑張れよ・・・」と飛葉、リープヒェンも加えて、みんなで下船の準備をする。

その様子を望遠レンズで眺める白人の男たち。
暗い部屋で、めいめいPP-19 Bizonで武装し、防弾ベストと軍服を着込んでいる。

フォト


「標的は七人!!そのうち・・・ヒバの首は百万ユーロ、そして・・・クロスの首が二百万ユーロ!!」
ヒューッと口笛が鳴る。
「クロスって野郎がリーダー?」
「いや、ヤツの首には・・・元々賞金がかかってるのさ。香港を始めとしたあちこちでナ。その追加分だ」

グルジア北西部、メスティア。

フォト


世界遺産にも登録されている、古い街の教会の一室にテーブルを挟んで、二人の男が向かい合っている。
一人は修道服に身を包んだ老人。秘熊である。
もう一人は白いスーツに身を包んだ黒人。ジョルジュ・デュバリエである。
「教会に身を潜めるとは・・・どうりでなかなか見つからなかったわけですな」とデュバリエ。
「誰が見つけた?」と秘熊。
「草波です。正確には草波の部下たちですが・・・」
「またしても草波か!!全くしつこい男だ・・・」
「でもあなたは草波の手を二度もかわしています。今度もうまくかわせますよ」
「手は打ってあるのか?」
「ご心配なく・・・罠を二重、三重に仕掛けました・・・しかも・・・」
秘熊が片目をギョロリと開いてデュバリエを見つめる。
「ワイルドには裏切り者・・・我々との密通者がおります・・・」
「草波は確かに裏切ったが、その実は裏切ったふりをしていた・・・今度は大丈夫か?」
「大丈夫ですとも・・・恋人を押さえられた男は弱いものでしてナ・・・」と、デュバリエ、バッグの中から防腐処理を施した女の生首を取り出す。ロシア人女性のエリカである。
「その恋人はこの通り、死んでますがね。でもこれは生きた人間以上に大変役に立つものなんですよ・・・フフフ・・・」

下船しつつ、サングラスの奥から遠くを見つめるクロス。
唇を引き締め、腕時計を見る。
それはカルティエ・・・
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