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2018年07月24日15:19

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トランプは果たしてイランと戦争を始めるだろうか?

昨日トランプ大統領がイランのローハニ大統領に宛てて発信したツイートについてコラムニストのMax Boot氏の論評を今朝のワシントン・ポスト紙ニュースレターが紹介しています。一部要訳してみました。
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トランプ大統領、残念乍らあなたの昨日の間違った脅迫は効果がないでしょう。
「大統領選に勝つために、オバマはイランに戦争を仕掛けるに違いない」これはトランプの2011年のツイートです。
そして、昨日のローハニ大統領に直接宛てた脅迫のツイート。
いつものようにトランプは自分の敵を攻撃しているのですが、今回は”wagging the dog” 本末転倒の観があります。

尤も、これはいつものパターン。大統領選の最中にヒラリー候補が先見の目を光らせてトランプ候補をロシアの傀儡と批判したのに対してトランプの反撃は「いや、傀儡はあなたの方だ!」でした。そしてヒラリーの警告通り、トランプはヘルシンキ首脳会談後の記者会見での発言が国に対する裏切りだと激しい批判をあび、その結果が昨日のローハニ大統領に対する脅迫をあれ程過激な表現にさせたのでしょう。

トランプはプーチンとの「偉大な会談」に正当な評価を受けていないことに激怒したにちがいありません。もちろんヘルシンキ会談で二人の間にどのような話が交わされたのかは、側近にも判ってはいないのですが、みんなが聞いたのは、会談後の記者会見で自国の情報機関の真実の報告を無視してプーチンのウソを受け入れたトランプの発言でした。そしてトランプは今も続いているサイバー攻撃などアメリカに対するロシアの攻撃を批判することすらできなかったことです。

元国家情報長官のクラッパー氏は「ロシアはトランプ大統領の何かを握っているに違いない」と発言。元CIA長官のブレナン氏も「裏切り以外の何物でもない」と非難。その他マスメディアはこぞってトランプに非難の雨を浴びせていました。
これに対するトランプの反応は、先ず矛先をアメリカン・フットボールNFLの選手に向けました。「国家斉唱を無視して膝まづいた選手はその試合の出場停止。二度目に同じ行為をした奴は今シーズン出場停止だ!」と吠えたのです。多分三度目は永久追放かギロチンに掛けると言いたかったのでしょう。

そして日曜日の深夜のイラン攻撃です。もしトランプ以外の大統領があのような全文大文字の最後通牒を唐突に相手にぶつけたら、彼は酔っぱらっていたのだろうと言われるでしょう。だが、完全禁酒主義者のトランプの場合は、またいつものやつさ、ということでしょうね。
これでトランプは世界中の注目を集め、今日はトランプとロシアをテーマに論評しようと予定していたわたしまでが急遽トランプとイランについて書いている始末です。トランプにとっては「狙いは当たった!」です。テレビニュースの焦点はロシアからイランへ一斉に変わったのですから。

トランプにとって問題なのは、彼のレトリックに対する信頼性が失われつつあるということです。彼が去年の夏に北朝鮮に対して「火の海にしてやる!」と言った時は確かに世界を震撼させました。だが、この一年の間に、彼は「小さなロケットマン」に籠絡された観があります。世界注視の中、金正恩を惜しみなく褒め上げ、将来いつかは核放棄しますという漠然とした口約束だけで米韓軍事演習を中止してしまったのです。
公には「北朝鮮との協議は上手く行った」と自賛している一方で、実はトランプ自身も北が約束通り行動するとは思っていないと報じられているのです。

トランプ大統領はハッタリが大好きですが、イジメッ子の多くがそうであるように、実は彼は臆病で実際にケンカをする勇気があるわけではないのです。CNNのコリンズ氏の情報によれば、トランプは超硬派のボルトン氏を安全保障担当補佐官に任命する際に「絶対に戦争を始めるようなことはしない」と約束させているそうです。
トランプは貿易戦争を始めていますが、実際の撃ち合いではありません。特殊部隊が何回か行った襲撃やISやタリバンに対する進行中の戦闘を除いては、トランプが命じた戦闘は二回だけ。2017年のシリアの空軍基地に対する小規模なミサイル攻撃と2018年アサドが化学兵器を使用した際に行った空爆だけです。
トランプは、多くの人たちが恐れていたような「戦争屋」でなかったことは喜ばしいことです。しかし、彼がbs artist(ホラ吹き)であると判った時点で別のリスクが心配になります。
彼の脅しは余り効果がないということは、皮肉にも、彼は実力行使無しでは目的を達成できないということにもなります。
一時、トランプがニクソンの”madman theory” (「核戦争も辞さぬ狂人」を装い、敵国の譲歩を引き出す瀬戸際戦略「狂人理論」)を国際問題で実行に移してニクソン氏より上手く立ち回るかもしれないと思われていたこともありましたが、北朝鮮に対しては通用しなかったし、イランに通用するとも思えません。もしかして、来年なったら、トランプは戦争を回避させたとして自分の功績を吹聴し、相手のローハニ大統領を「非凡な能力の持ち主で冗談好きな知的で実力があり国民を愛する指導者」だと持ち上げることになるかもしれません。

わたしが一番恐れているのは、トランプが散々怒鳴り散らしウソ八百を並べたので、自分の脅しが本物であることを信じてもらうために、実際に戦争を始めるハメになることです。




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