今日のコンサートは、聴いている方がどこに関心を向けたかで、だいぶ印象が変わるような気がする。
大阪 ザ・シンフォニーホール
センチュリー第227回定期演奏会
クリストフ・ケーニッヒ指揮 日本センチュリー交響楽団
(コンサートマスター 荒井英治)
チェロ独奏 ジャン・ワン
チャイコフスキー:幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 作品107
シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品97「ライン」
コンサートとしての中心点は、恐らくはショスタコのコンチェルトであっただろう。長い長い、そして重量級の内容を持った「私小説」。ここに、魅力を感じた人も多かったろう。
でも、ぐすたふくんが感じ入ったのは、ラインの方。まるで、違う曲を聴いているかのようで・・・
クリストフ・ケーニッヒという、長身男前の若い指揮者の振るシューマンの交響曲は、「シンフォニー」というよりも、まるで「歌曲集」のよう。それは特に、ゴツゴツとした肌触りの1楽章を、流れるようなフレージングで振り切ったことに端的に現れている。そのフレージングの妙は、もともと歌謡的な3楽章でもはっとするような美しさを見せ、耽溺することなく淡々と歩みを進める4楽章で聖歌隊の合唱をエコーする。舞曲として普通聴くであろう5楽章でも、リズムを強調するより旋律を十分に歌わせ、ブラスの野太い響の挿入に酒場の男たちの乾杯の斉唱が聴こえる。
耳にタコができるくらい聴いたこの曲がこんなふうに奏されるとは・・とても新鮮な「ライン」でした。
終演後のカーテンコール、拍手を制して彼が英語で一言・・「こんなに小さかった頃、少年合唱団の一人として東京と大阪で歌いました。ここにまた来れて嬉しいです」・・そうだったんだ。
先週聴いた復活を振ったのも若きドイツ人、そして今日も若きドイツ人。これもまた「出会い」。
ケーニッヒさんで、マーラーの4番が聞きたいな。
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