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2018年07月03日23:18

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郷土資料館『この世界の片隅に』展

7月1日(日)。宇品にある広島市郷土資料館の企画展「漫画『この世界の片隅に』に見る戦時下の暮らし」を見て来ました。
郷土資料館というローカルなイメージの名称から、公民館程度の場所に昔の暮らしの器具を並べている程度の展示会であろうと高を括っていたのですが、実際の建物を見て余りの立派さにびっくり。
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緑に包まれた赤レンガ造りの歴史を感じさせる大きな建物。それもその筈で、旧陸軍糧秣支廠(りょうまつししょう)建物だそうです。また被爆建物でもあり、原爆の爆風で折れ曲がった屋根の鉄骨をそのまま保存してもいるそうです。
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この資料館へ行く途中でも被爆した壁の移築保存があったりします。
写真は入り口。横で猫が寝そべって涼んでいました。
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緑濃い建物で、立派な中庭もあります。
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建物ばかりか、目当ての『この世界の片隅に』展も予想を覆す展示量と内容の濃さ。
展示は、
1.戦前戦中の広島を歩く
2.戦時下を生きる
3.創作の現場から〜作者こうの史代氏の紹介〜
の3つからなっており、こうのさんの漫画のコマを参照しつつ、そこに描かれた当時の広島の風景や暮らしを、実際の品々と写真やパネルで示して解説。
それも通り一遍の解説ではなく、例えば、浦野一家の海苔仕事を同じ構図で描いた場面を異なる幾つかの回から抜き出して対比させ、すずさんたちの成長や作業の変化を示すといった具合に、漫画をちゃんと読み込んでいなければ出来ない展示がなされているのです。
細かく行き届いた展示に圧倒されてしまいました。
記念撮影コーナーもちゃんとあります。
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1階展示室では漫画に則って広島の街と、奥の一室を丸ごと使ってこうのさんのエッセイ漫画『平凡倶楽部』の原画展示、2階展示室では戦時下の暮らし、更に廊下をいっぱいに使ってアニメ映画版『この世界・・』の資料を展示(栩野さん制作の北條家の模型なども)と盛り沢山。途中からピッチを上げて見て回らなければとても見切れない量です。
この資料館は、こうのさんも執筆中に通って参考にした場所というだけあって、ほぼあらゆるものに実物があります。
単行本の表紙や漫画に描かれた北條家の家財道具もほとんど揃っています。

こうのさんの『平凡倶楽部』の原画は最後に見て回ったのですが、これも面白かったです。デジカメを題材にした回では、デジカメ入れの布袋を手縫いで作る様子が、そのデジカメで逐一撮影されて、その写真でページが構成されていたり、或いは「判で押したように同じ建物が並ぶ団地」を表現するのに、言葉そのまま、朱肉で押した印影を重ねて団地を表現したりしていて、唸らされます。

この企画展示だけでなく、1階奥の常設展示室も、広島の牡蠣養殖の変遷や、特徴的な衣食住が並んでいて、とても興味深いものでした。時間がなくて最後は駆け足でしたが、ここを見るだけでも来る甲斐がありそうです。
また、他にも様々な企画展や催しを行っているようで、図書室や体験ルーム、工作室などもあり、広い建物を有効に利用している様子です。
こんなところがあるなんて全然知らなかったので、とても驚いたのでした。
館員の方々もとても親切で、毎週日曜日には学芸員による展示ガイドも行われていたそうです。
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