ナチス宣伝部長であったゲッペルスの秘書ブルンヒンデ・ポムゼルの独白とアーカイヴ映像で構成されたある種のドキュメンタリー
彼女がなぜゲッペルスの秘書として働くことになったか?
仕事が少なかったから 仕事をくれるならとナチスに入隊する話とか、彼女の友人のユダヤ人エヴァの話とか、ナチス時代を生きた人の貴重な証言で構成されている。
彼女は言う「今の人はよく言うの。『私ならあの体制から逃れられた、絶対に逃げた』無理よ、あの体制から逃げることはできなかった」
いや、それはわかる。
ヒトラーは実は民主的に選ばれた指導者なのだ。映画「帰ってきたヒトラー」を見ればわかる。現実の問題を解決するために強い指導者が選ばれた。それがヒトラーだったまでの話。
実際問題、ヒトラーは失業問題を解決しようとして、画期的な経済復興策を起こした。戦争で負けなければ優秀な政治家として評価されたかもしれない。
ユダヤ人問題についても彼女は言う「強制収容所の存在を知らなかった」「何が行われているのか知らなかった」等々。ある意味これは真実かもしれない。ドイツ本国ではあまり(比較的)ひどいことはなかった。とはいっても職にもつけず、大方のユダヤ人は貧窮生活を送っていたのだが。国外逃亡したくも財産を差し押さえられてて富裕層ですら着の身着のままで外国へ渡った
ドキュメンタリー映画「ショア」でも繰り返し触れられていたが、ナチスは問題が表面化するのを防ぐためにポーランドに強制収容所を作り、ポーランド国民は見て見ぬふりをした。だから知らなかったのも事実だろう。知らなかったというより「知ろうとしなかった」のだが。
いつも思うのだが。もし私が当時のベルリン市民だったら?? もちろん体制におもねるだろうなぁ。ナチスは国を豊かにしてくれる夢の政党だったのだから。
高精度カメラが撮影当時103歳のポムゼルを映し出す。皺だらけのまるでミイラのような彼女の姿は終戦から70年という歳月の象徴だ。
友人のエヴァは結局強制収容所で亡くなったらしい。ポムゼルは言う「私は知らなかった」しかしアメリカ製作のニュース映画では矯正収容所を(おそらく)ポーランド市民に公開したうえ、国葬を命じたシーンが入っている。知らなかったじゃすまないだろうというのがその理由。
なお、本映画ではユダヤ人ゲットー及び収容所における餓死者や死に瀕した人の映像が無修正で含まれています。閲覧注意というか、これが事実なんだから心して見ろと思ってしまったりする。
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