昨日は法螺を書きました。
毎月一日には法螺を書いています。
ああ、昨日は年に一度の法螺の日だったか。そうか。
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自宅の片付けをしていて、実際に出てきたのは、『春色梅児誉美』(しゅんしょくうめごよみ)であった。
春とか色とかいきなり並ぶからなんとなく浮き立つが、
エロというほどのことは無いが、美男美女の三角関係という内容だそうで、
下世話ではありそうだ。
江戸で人気の通俗小説、ってとこだろう。
カビがひどかったが、アルコールを含ませた不織布で拭った。
表紙は傷んでいるし、虫食いも有る。
しかし、ボロボロと崩れるとかいったこともないので、読めなくもない。
※
桜の花などを染め抜いた、紫の布を貼った丈夫な紙で四方を囲み、
紐で結ぶようになっている。
今で言えば、ボックスセット、というところだろう。
この箱に、13冊入っている。
どうやら、12冊とオマケ1冊のようだ。
富士やら鶴やらを描いた扇の柄の表紙で、賑々しい。
まず序文が有って、それから色刷りの絵が見開き3ページくらい続く。
あとは本文で、たまに挿絵のページも有るがこれは単色。
表は傷んでいるが、中の刷りの色は鮮やかなままだ。
※
「巻の十二」の最後のページには、こうある。
著者、挿画、既刊と新刊の広告、発行年月、出版社、発行人。
現代の本の奥付と内容は同じだ。
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作者 狂訓亭主人
画工 柳川重信
美艶仙女美玄好男 玉手箱浦島日記 全本六冊 狂訓亭著
貞操女八賢誌 初輯三冊 二輯三冊 近日うり出し申候
天保四癸巳季正月発行
江戸書林
永寿堂 西村屋与八
文永堂 大島屋傳右衛門
※
狂訓亭主人というのは、為永春水のペンネームのひとつらしい。
天保四癸巳季とは、1834年。
永寿堂は江戸の大きな版元だったようだ。
さてこれ、実際に1834年に刷った、その物だろうか?
調べると、あんまり流行したので、一時発禁になったという事も有ったらしい。
それが、明治の世になって、再版されてボックスセットで発売、とかいうことを
想像しているのだが、どうだろう?
まあ、ゆるゆると、調べてみよう。
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