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2018年03月15日12:52

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「東京アニメアワードフェスティバル2018」(その3)

続き。
「東京アニメアワードフェスティバル2018」の短編コンペティション部門〈スロット2〉から印象に残った作品を紹介。


○『人形は泣かない』(2017)――カナダ。20分。人形アニメ。
物語は――、
【人形アニメを制作している青年を手伝う女性。彼女は戸棚の中に幾つも捨てられた人形があるのに気づく。その人形は人間の感情を持っていて・・・】
劇中で制作中のコマ撮りアニメでは、迫害から逃れて駆け落ちする男女の“真の”愛が描かれるが、現実では青年にとって女性は使い捨てのようだ。
人形に服を着せて自分と同じ化粧ほどこす女性は自己愛を表現しているようにも見えるし、本当に理解してくれる女性を求める男性の普遍的な姿にも思える。


○『イチゴの香水』(2017)――フランス。6分。2D。
物語は、息子にヤクザであることを隠す父親の話。70年代からフランスはいまだ日本のヤクザに対するドリームがあるようだ。
登場人物全員が目の吊り上がったイタチ顔で、欧米人には日本人も中国人も朝鮮人も区別がつかないのだなあと再認識した。
おフランスにとってアジアは未だ別人種が暮らすファンタジーワールドなのだろう。


○『ネガティブ・スペース』(2017)――フランス。5分。人形アニメ。
物語は――、
【常に出張か単身赴任の父親。息子と父親との接点はスーツケースの荷造りをすることだけだった・・・】
いつも感じることだが、息子と言うものは普段世話してくれる母親よりも、たまに出現しては玩具を買ってくれたり言葉をかけてくれる父親のほうを大事に思うようだ。(だから男の子など育てる甲斐が無いと言われる)
日本ではもはや「ATM」にすぎないこの父親だが、少年の中ではいまも大きな存在のようだ。
作品のラストで「スペースが余っている」という言葉は意味深。
単純にそこに花を詰めればいいと考えるかもしれないし、父親の人生に足りなかった部分を考えさせる暗示なのかも知れない。
男はロマンチストだ。女性の私からすれば、どうせ他所に女がいるよと思った。


○『何も起こらない』(2017)――デンマーク。11分。2D。
はっきり言って北欧は娯楽が少ない。だから何か始まるかもしれないと期待して(何もなくとも)人が集まるのは理解できる。
物語は――−、
【しだいに人が集まって来るが、何の見世物かは観客には分からない。人は集まって、そして去っていく。あとは静寂が残るだけ。】
カラスがやたら群れているので、やはり処刑か何か死を連想させる見世物だと想像できる。最初にやって来て最後に去る老婆が涙するのも、被害者の存在を認識させる。
しかし社会主義批判でもあるまいし、何か古臭さを感じるテーマ。


すべての作品を紹介したいが、優れているものならまた何かの機会で目にするだろう。
まだまだアニメフェスは続く。
(続く)

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