古い白黒映画から飛び出してきたおてんば姫と、映画監督を目指す青年の姿を描いたロマンティック恋愛ファンタジー作品。
この作品の上映終了後、劇場内に明かりがついた後も観客は誰も立ち上がろうとはしませんでした。
すすり泣く声や、ささやくように感想を語り合う小さな声が劇場の中にあふれて、しばらく止むことが無かった…。
綾瀬はるか演じる姫君と、坂口健太郎演じる青年の切ない恋愛の物語。
単純に恋愛物語として見ていても、映画のスクリーンでしか見ることができなかった魅力的なヒロインと、将来の夢に向かって進んでいる青年の二人の関係が魅力的で目が離せない。
青年を「下僕 しもべ」と呼ぶ傍若無人な姫君に笑ったり、本田翼演じる社長令嬢との三角関係にハラハラしたりと、見所を書きたいところが満載で、ネタバレ無しでレビューを書くのに苦労するw
笑ったり泣いたりしているうちに、暖かい気持ちになれます。
映画ファンの視点から見ると、姫君=映画作品や劇場などの広義の意味での「映画」と、青年=映画製作関わる人々や観客などの「映画ファン」の幸せな関係に見えます。
映画作品で例えるならば、「ニュー・シネマ・パラダイス」のような。
「映画」へのリスペクトが満載です。
ローマの休日
カサブランカ
嵐を呼ぶ男
仁義なき戦い
マイトガイシリーズ
タイタニック
などなど、数え上げたらキリが無い。
「ガラス窓越しのキス」のシーンは、古い洋画作品が元ネタだったと思ってましたが、邦画だったんですな。焼きが回ったな…。
作中の白黒映画に「三獣士」という動物を擬人化したキャラクターが登場してました。
その内の一人が、羽飾りがついた大きな帽子を被り、サーベルを腰にさした「猫」。そして、足元を見ると長靴を履いている…。
その昔、東映の劇場アニメ映画に「長靴をはいた猫」という作品がありました。これは、その主人公「ペロ」が元ネタかな?
子供の頃に、東映まんがまつりで見たので覚えてましたw
作中で「虹」が出てきたところで、「オズの魔法使」を思い出しました。
「オズ…」は、白黒映画からカラー映画へと変わってゆく頃に作られた作品。
ドロシーがいた現実世界のパートは白黒ですが、オズの住む魔法の国はカラーになっていて、その演出が素晴らしい。
「今夜.…」も「色」に注意を払っているところに注目。
「赤」という色から連想されるイメージの豊富なことや、普段当たり前のように目にする看板やサクマ式ドロップが、実は本当にカラフルなことを再認識させられたりと、感覚や知性が刺激されました。
古くから足繁く映画館に通っている人なら共感するところが多くあって、感慨深いでしょうね。
今では複合式映画館、シネマコンプレックスが主流ですが、最近の若い人は昔ながらの映画館を知らないと思います。
今では、暖かいコーヒーやホットドッグ、ポップコーンが購入できますが、昔はガラスケースの中に並んでいるお菓子やジュースを買うのが普通。
今は無い狸の通っていた劇場ロビーに設置していた自販機の飲み物は、瓶に入ったファンタ。大人気でしたw
座席数の定員がオーバーしても当時は「立ち見」ができて、場内の通路や階段で作品を見ることができたんですよ。
狸が子供の頃、当時大ヒットしていたスピルバーグ監督作品「E.T.」を見た時も、劇場の階段に座って見ていたことを思い出しました。
気軽に彼女や彼氏を誘って見に行く、気軽なデートムービーにうってつけ。
映画ファンなら、過去の映画作品や映画館を連想しながら感想を語り合いたくなります。
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