mixiユーザー(id:280973)

2018年01月27日22:38

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『はじめてのおもてなし』

 原題は「ウェルカム・トゥ・ハートマン家」

 そういう表現がいいかどうかは分からないが「社会派喜劇」、或いは「重喜劇」というサブジャンル分けがあって、日本での第一人者は(現時点でも)山田洋次なのだろう。山田洋次もどうせなら難民とはいわないけれど、『家族はつらいよ』の新作で主人公一家が外国人留学生を受け入れる話でも作ってくれればいいのにと思う。初期の作でハナ肇が演じた破天荒な男たちといい、車寅次郎といい、そういったその枠から外れてしか生きていけない人間と出遭った「普通」の人間たちが戸惑い迷惑がり、やがて自分たちの生活や生き方を見つめ直すという物語を描いてきたのが山田洋次なのだから。

 山田洋次がいなくなったら、どうなるんだろう。今の山田のあり様を揶揄するのは簡単だけど。

 そう考えてみると、このドイツ映画が描きだしたものは日本映画になかったものではないのだ。実態としては崩壊している或る家族(中流の上あたりか)が、気まぐれにナイジェリアからの難民青年を受け容れたことで、家族内や社会の矛盾、そして自分たちの欺瞞を思い知らされていくというドタバタタッチの、いささか大味なところもある風刺劇なのだが、そこにドイツ、EU、或いは世界が置かれている現状の深刻さが反映されている。社会告発ではなくあくまでもコメディ映画を撮ったという監督(この映画の母親役の女優の息子さんでもある)がいうとおり、クライマックスから結末までの展開を素直に楽しむべきであろう。そして、それは世界はこうあって欲しいという作り手と受け手の願望でもある。
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