1年前、Twitterで「私を構成する9枚」というのが
流行ったことがあった。
自分の好きなCD、影響を受けたCDを9枚選んで
Twitterでアップするというものだ。
最近、マイミクの方がこれをやっているのを見て、
自分もやってみようと思ったが、意外に難しい。
自分が影響を受けたCDというと、100枚はあるだろう。
9枚に絞るのは不可能だ。
そこで、「私を構成しない9枚」というのを思いついた。
これなら簡単だ。
以下、その9枚と、簡単なコメント。
� 岷震拭¬ご粟�」カラヤン/ベルリンフィル
長年、ピアノや作曲をやってきて、言えることは
「クラシック音楽は難しい」ということである。
カラヤンのことが好きになれない理由は、、作品の中に
「問題点、難題」を見いだし、熟考された跡がないという
ことだと思う。
�▲屮蕁璽爛晃魘繕柄棺検．戞璽�/ウィーンフィル
ベームは真面目な、誠実な指揮者だが、実演ではともかく、
DGなどの録音を聴くと、退屈な演奏が多い。
フルトヴェングラーの「ベートーヴェンに関する限り、平凡は
悪である」という発言を参考にするまでもなく、退屈な演奏を
無理して聞く必要はないだろう。
��モーツァルト 交響曲第40番 アーノンクール
退屈なベームがダメなら、面白いアーノンクールなら
いいのかというと、そんな簡単な話ではない。
フィナーレの展開部の冒頭の無調的なところを
急に、遅いテンポで「どうだ」といわんばかりだが
必然性に乏しく、思いつきの感が強い。
平凡な演奏は困るが、かといって思いつきの演奏も困る。
改めて「クラシック音楽は難しい」ということか。
�ぅ錙璽哀福次．法璽戰襯鵐阿了愆帖．屐璽譟璽此�DVD）
パトリス・シェローの前衛的な演出に大ブーイングが起こるなど
大きな話題となった「リング」。
現在ではむしろ主流になった感のある前衛的な演出だが
これに対しては、「芸術の衰退」という意味では
必然性を認めつつも、やはり許しがたい暴挙だと思う。
19世紀最大の芸術作品が、ミュージカル並みの、軽薄な
パフォーマンスに見えてしまう。
�ド靄�徹 遠い呼び声の彼方へ（1980年）
武満は、1970年頃を境にして、スタイルを一変させている。
それまでの、前衛的なスタイルから、調性的な、保守的な
スタイルへと、えらい変わりようだが
それを肯定的に捉えるか否かは、聴きてによって分かれるところだろう。
個人的には、まったく受け付けられない。
疲れか、信念がぐらついたのか、まあ、そんなところだろう。
現代音楽自体、1980年頃からはっきりと、落ち目になっていく。
この曲からは、「終焉」が聞こえてくるといったら大げさか。
��上原ひろみ「アナザーマインド」
ジャズを聴くのは、9割以上、いわゆるモダンジャズだ。
そこには、白人音楽と、黒人音楽の邂逅によって起こった
化学反応のような、特別な音楽の誕生を見る思いがするのだ。
上原のピアノは、たしかに上手いし、なかなか面白いが
化学反応のような、強烈なものは感じない。
��大滝詠一 「ロングバケーション」
日本の歌謡曲は大嫌いである。
○メロディやアレンジが粗い。
○政治批判や戦争反対はダメなど、タブーが多い。
○マーケティングを意識して作られている。
とくに大滝の「ロングバケーション」のような
和製AORは、
「こういうのがウケるだろう」という下心が見え見え。
そういうのは、もう最低だとさえ思うのだ。
�┐呂辰圓�えんど「風街ろまん」
日本のロックの、代表作と言われる１枚だが
どこがロックなんか、さっぱりわからない。
大滝の変に粘ったヴォーカルはノリが悪いし
何よりも、最高のものを作ろうという、
「気合」がまるでない。
こんな作品が、「ロック」として高く評価されることに
どうしようもないものを感じる。
��ハイスタ「GROWING UP」（メロコア）
メロコアとは、パンクバンドで
軽いラブソングや、ポジティブな内容を歌うというもの。
日本でこれがとくに受けたのは、
日本のメジャーレーベルでは、
政治批判や戦争反対の歌が出せないので
パンクバンドにもラブソングを歌わせる、という
情けない事情があることを見逃してはいけないと思う。
イギリスでは、いまでも政治批判の歌が堂々と
歌われているのと比較すると
この国は本当に情けない国だと思う。
と、ここまで書いて気づいたのだが
これらのCDも、自分の価値観を作るのに役立っているという点で
自分を構成しているのではないか。
なんとも逆説的な結果になってしまった。
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