モニターをにらんで目が疲れたので、ちょっとばかし午睡して、起きたらもう暗い。
当然だわな、明々後日 (しあさって) が冬至なんだもの。
冬至といえば、付きものは、かぼちゃと小豆のいとこ煮だよね。
ところが、夏井いつきという俳人の 『絶滅寸前季語辞典』 を読んでいておどろいた。 彼女、「従兄煮」という季語は、まったく意味不明だと断言している。
「厄年の従兄のためになにか煮てあげると厄よけになるという風習か。 はたまた、この従兄は元関取で、引退した今はちゃんこ鍋屋をやってて、この煮物が店の目玉メニューなのではないか。 いやいや恐ろしくもまた、近親結婚を理由に自分をフッた憎い従兄を呪ってやりたいと思う女が煎じる毒薬?」
・・・て、おいおい!
いくら冬至のいとこ煮が東日本の習慣で、愛媛では作らないっからって、ちょっと物知らずすぎじゃないかい?
「従兄煮」は春の季語で、これすなわち冬至から春が始まるという、旧暦のときはそれなりに適切だった認識からのもの。
ネットを探せば、ちゃんと例句もあるよ。
従兄弟煮に冬至南瓜の加はれる 宮津昭彦
とかさ。
夏井さんは、例句がないし、醤油味という以外どんな煮物かもわからないとかいいつつ、自分で一句でっちあげる。
従兄煮のなかに入れたる黒きもの 夏井いつき
その黒いものって、小豆じゃん。 あんた、知ってて、最後までとぼけて「従兄煮」の項を書いたんじゃないだろうね。
従兄煮の豆つつきつつ燗を待つ ドクター鴨橋
ログインしてコメントを確認・投稿する