素子

いつもなら赤ワインの半分も開ければクラクラになるのに
薬を飲んでいるとまだシラフで
書きかけの論文に使えそうな引用を探している

塩辛い、脂っこいものと酒ばかり胃に流し込んでいるのに
またあばら骨が浮いてきた
胸も餓鬼みたいだ
こんな体じゃきっと君にはちっとも愛されないだろうな

脳みそに支配された
無意味な体
どっかのアニメじゃないけど、
一瞬でシラフに戻れる薬とか
デジタルドラッグとかさ
彼女達とパーティーをするよ、そしてクールに笑うんだ
明日には違う体になっているんだろうしさ
ネットに意識だけ移植して肉体を放棄できたら、最高だろうな

そしたらきっと今もどこかのネットの端っこに頼りなく繋がってる君を見つけに行くんだ
そしてちょっとだけイタズラをして
また光の波に戻るんだ
僕の事をほんのすこしだけ思い出してもらいたいから

もしも君の意識もネットに繋がったなら
僕たちは今度こそ一緒になるんだ
痛みも苦しも性別もない世界で

でもきっと君はまた僕を拒絶するんだろうな、、、
そして僕は僕の存在を放棄するしかなくなる
光の波になれたなら