『ソウル・ステーション / パンデミック』　（10月鑑賞）

　実写版の本編というか続編『新感染エクスプレス』の文字通り「前日」談のアニメ。更に救いのない話が展開される。ゾンビよりも国家権力に追い詰められていく人々。自分勝手で足の引っ張り合いしかしない愚かで最低の者たち。ゾンビなんていなくても既に崩壊していた社会の最底辺でうごめく者たち。この社会は互いに信じ合うということを失ってしまっている。『シン・ゴジラ』あたりとは全く対照的である。むしろリブート版『猿の惑星』に繋がるなあ。

　これがハリウッドだったら、ヒロインの××の正体を早いうちにバラして、共に逃亡していくうちに彼が改心していく、という話になるんだろうなあ。

　ゾンビから辛うじて逃れた人間があえなく同じ人間によって殺される。皮肉な結果なのだが、その後のあまりにも容赦ない展開からすると、その殺され方のほうがまだ幸せだったようにさえ思える。人間の尊厳はいかに死ぬかで守られるのかもしれない。