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2017年10月12日00:02

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で…電波違い

大好きな作家、浅田次郎。

この作者はいくつかの顔を持っている。
一つは、一番有名であろう“鉄道員(ぽっぽや)”等に代表される、泣かせの浅。
もう一つは“蒼穹の昴”の様なそこそこ重厚な作品。
更に、軽妙洒脱を逸脱しかけていると言って良い(傑作だっ!電車で読むな!危険だっ!)エッセイ。
そして、嘘か真実か、作者がかつて住まっていた社会をネタにした、と言うストーリー群。

これはもう一つの代表作(この人は「代表作」がやたら多い)“プリズンホテル”と並び、その四番目と言って良いのだろうか、極道とその周辺の人々が織りなす、笑いと涙の超ドタバタ物語。

先日、お散歩途中のTSUTAYAでレンタル落ちDVD、3枚組を手に入れた。
えぇ?こんな映画知らないぞと思ったら、Wowowのドラマだった。
ウチはWowow契約ないし、CATVだからアンテナも立ってないしね。
(CATVで試聴できるらしいが…申し込むほどTV観ないし)

意外と新しい、2016年、昨年放送された連続モノだという。

何故今頃になって“きんぴか”??

『きんぴか』は、日本の小説家の浅田次郎による長編小説。1992年から1998年にかけ3作が刊行された。「悪党小説の金字塔」という謳い文句がつけられている。
1998年から片山誠によって漫画化(#漫画版)。1996年に『通称!ピスケン』のタイトルでVシネマ化。2016年にWOWOWでテレビドラマ化。

Vシネマもあったんだ。作られた年代をみるに、これは完結に至っていないのだろう。
しかし、監督も配役も豪華だ。
劇場公開されない、あまり一般の目に触れない作品なのに、こんな凄い布陣なのか。
これ、一寸観てみたいぞ。

(Vシネマ)
ピスケン - 哀川翔
軍曹 - 六平直政
ヒデさん - 國村隼
マムシの権左 - 麿赤児
福島克也 - 金山一彦
阿部まりあ - 村上里佳子

監督 - 高橋伴明

さて、今回入手のブツは…

WOWOWの連続ドラマWで2016年2月13日から全5回に渡って放送された物。

阪口健太(ピスケン) - 中井貴一
広橋秀彦(ヒデさん) - ユースケ・サンタマリア
大河原勲(軍曹) - ピエール瀧
向井権左エ門(マムシの権左) - 綿引勝彦
福島克也 - 青柳翔
阿部マリア - 飯島直子

これもなかなかのキャスティングである。

が…
一般の劇場映画だと90分から2時間に原作を凝縮し、尺の問題は作品の一部エピソードを抜き出し構成するか、全編に亘ってダイジェスト大会にするかである。

TVドラマの単位は1時間か1時間半。CM挿入を前提で作るから長くても50分かそこら。
全5回の実際の尺は本編約258分。
4時間一寸の時間となれば、原作の一部ではなく、全てを、と思うのは仕方がない。
しかし、正直この時間に3册の文庫になる原作を詰め込むのはかなり無理がある。
やっぱり無理が滲み出ている。これは一寸魅力的な俳優陣を楽しむ番組なんだろうなぁ。
流石に全てのエピソードを盛り込むのは難しかったようだが、原作の流れ“だけ”は取り敢えず最後まで追ってみました、という感じ。

原作が大好きなのでなかなか豪華だがこのキャスティングはいかがか?と思ったが、実際に観るとなかなか良いんじゃない?
作中で一番魅力的なキャラクター血まみれのマリアも悪くない。

amazonのレビューがそりゃまぁ、酷い。

言われても仕方がないかも知れない。
ダラダラと見るドラマならまぁまぁだが、浅田作品としてみたら…
ハチャメチャなスラップスティックはないし、ほろり人情も、格好いい男と女の大見得もなく、その面白さを全く伝えていない。

原作

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=316975625&owner_id=258708

三人の悪党―きんぴか〈1〉
浅田次郎(著)
文庫:315ページ
出版社:光文社(1999/07)

血まみれのマリア―きんぴか〈2〉
浅田次郎(著)
文庫:347ページ
出版社:光文社(1999/08)

真夜中の喝采―きんぴか〈3〉
浅田次郎(著)
文庫:313ページ
出版社:光文社(1999/09)

これぞまさに浅田次郎の原点。
最近は「重厚な史劇」や「泣かせ」傾向が強い作者だが、ドタバタ喜劇・ハードボイルド・ピカレスク・人情…満遍なくバランスがよい初期作品。
なにより、“プリズンホテル”の主人公のような、少々目障りなキャラクターが出てこないのが快適である。
(まぁ、プリズンの主人公も改心して大団円なのだが…)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=84345561&owner_id=258708

なにより脇役を含めたキャラクターの魅力的なこと。
どの人物もすっくとキャラクターが立ち上がっているのだが…
2巻のタイトルにもなり、後に“プリズンホテル”にも登場する、救急センターの看護婦長、血まみれのマリアがとにかく印象深い。
いい女って、こういうのを言うんだよな。

とにかく、粋なんだな、浅田作品って。
出来れば1〜3まとめてお読みになることお薦め。
(って、多分言われなくてもそうするだろうけど、大抵の人は)
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