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2017年09月09日23:56

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京滋ドクターヘリ

草津だか栗東だか、国道8号が国道1号から分岐する辺りにある
済生会滋賀県病院が運用する
関西広域連合のドクターヘリ(写真1)の見学会に行ってみた。

※わたしは某ドラマは見ていない。
 医療ドラマって過剰に脚色されているという話をよく聞くし
 変に思い込みのイメージをもってしまうのも
 良くないような気もするしなあ。

本物を見るのは価値のあることなのだが
見学会をやっているドクターヘリってのもそうないそうで。
ただ、ここは毎月やっているらしい。
但し、見学会途中に出動がかかって
見学者を退避させて飛んでいってしまいました、なんてのも
何度かあったそうだが、今日はわたしが見ている間には出動はなかった。


年間運用費が2億2千万円。
大体毎日2回出動くらいのペースらしい。

ヘリだけチャーターすると1時間60万円くらい。
無論、チャーターの運用利益込みの値段だが、
毎日2回片道30分の運用なら4億4千万の半分だから、妥当なコストか?
(栗東から神戸空港で約20分フライトなので
30分は十分担当エリアをカバーできるだろう)

通報者の言葉から患者の状態を厳密に知ることは困難だから
緊急通報の中に出てきたキーワードで機械的に出動を決めるらしい。

例えば「痙攣」とか。

なのでハズレもあり、
出動のうち月に数回は飛び立ってからキャンセルで引き返してくる。
正直、先着した救急車から

「本人は意識もあって自分で歩行できる」

との連絡とかでキャンセルもまあまああるものだが、
兎に角現場に向かわないと
遅れて命が救えなかったというのはダメだから、ということね。

出動要請を受けたら5分以内に離陸する。

但し、ドクターヘリは計器飛行は許されておらず
出動は有視界飛行が出来る状況のみに限られる。
ビミョウに制限がいろいろなのである。

昼間でかつ天候条件が良い場合なので、
霧や雨量が多く見通しが低い場合も飛べない。
台風など強風もダメ。
こちらも月に最低1回は天候条件で要請に応じられないことがある。

現在近畿地方(変則的で、三重を除き高知の一部と徳島鳥取を入れる)では
この滋賀の1機の他、大阪1機、和歌山1機、兵庫2機、徳島1機で
最近奈良に1機入ったか?という話だが、
まあ上記6機でこんだけの広い範囲全域をカバーするように分担している。

近畿地方は人口の18%程度(但しこれは三重を含む正規の「近畿地方」だが)。
全国だと(上記新導入とかの怪しいネタの奈良を除いて)45機。
割合からすれば8機ないと足りないのだが、
それでもこの運用数6機で上述の通りキーワードフックにより
指令センターから救急車と同じように出動指示。


前から思っていたことで
今回の見学中にも感じたことだが、

「思うに、本当にヘリが良い解決策なのか?」

と。

例えば、最近報道が好む離島などの医療過疎地でも期待される遠隔医療。

今すぐ代替できる技術ではないとしても、ね。

医師もコミコミで一切合切をヘリで運ぶんじゃなくて
必要な機材だけを小型ドローンで運び、
WiMAXだの5Gだのどんどん高速化してゆく公衆無線回線で繋いで診断、処置、
というシステムといずれ損益分岐点が見えてくると思うんだ。

ドローンならフライトのリードタイムに5分などという時間もかからず
もっと迅速に出動させられ、経費も比較にならないほど安い。
配置数も今と比べれば「無数」というくらいには展開できそうだし、
天候も無人ならではで多少の無理は効くだろうし、
計器誘導での夜間運用もむしろ大幅に小型の無人機なら可能かも?

その時に

「既に固定費のかかるヘリを導入してしまいました、
 でもおいそれと廃棄できるわけもありません」

で、新しいシステムとの刷新に
また無駄なコストを要求するようなことが起こると
それを負担できる富裕層だけの上位救急救命医療が出来てしまったり、
なんてことにもなりかねないんじゃないかなあ、とかね。

そういう「在り方」というか全体ビジョンを
医療そのものとはちょっと離れて
体系的に経営的観点から長期のロードマップを作るなりして
検討を続けているような上位組織って必要なんじゃないのかね?とね。

厚労省とかは現実的にそういう頭の良い人間は居無さそうだし。
少なくともこの京滋ヘリが所属する関西広域連合では
そういう俯瞰検討をしている様子はなさそうだった。
当面極大値で、
「今」もてはやされている手段を導入しましょう、的なところ止まり。

あ、やるな、と言っているのではないよ。
現状は「仕方がない」にしても。
上述の通り、今すぐ仮想現実上での遠隔操作などでは代替出来なくても。


フライトドクターは他の見学者の記念写真に引っ張りだこで(写真2)
結局話しを聴くのを断念したが、
パイロットの方によると
現状では喩えVRなどを駆使して患者の状態をリモートで知れる機材を
ドローンなどで送りつけられて
かつ、医師の遠隔指示で通報者が患者に装着できるだけ安易な装置に
ソフィスティケイテッドされていたとしても
法律がその医療補助行為の許可に踏み切れないのではないか、と。

まあ、立法の議員は責任逃ればかりだから、
そういう法律って最も採り上げられにくい種類だろうしな。
許可して事故があったら叩く民衆の頭の悪さも無論あって。


乗務する医師も看護師も専用の習熟過程があるそうで
看護師さんに話を聞くところによると
ヘリの機体構造とか、ライフジャケットの使用、非常食の搭載など
最悪、機体が堕ちた場合に必要な対応の知識も講習で学ばされるそうな。

そこまで非常時でなくても
テールローターに近づくと吸い寄せられて巻き込まれる可能性があるので、
機体に近づく際は必ず機首側から回って近づくことなど徹底するそうな。
ストレッチャーの収納扉がキャビン後部、ブームの下なので(写真3)
こうういのもテールロータ側から近づかないことを徹底しておかないと
二次事故が容易に発生するだろうな。


機体は当然一定の飛行時間でメンテナンスに入るため
全く同じ機材を代替機として提供できるオペレータと
機材運用の包括契約でやってる。
京滋の場合、神戸空港や八尾空港で見るヒラタ学園さん。
他のドクターヘリの導入方法はよくわからないが、
関西広域連合では殆どここの同じ形式(エアバス・ヘリ社のEC135)

※報道のヘリでもこの機首はよく見かける。
 機材の機能的には有視界だけでなく
 いずれかのカテゴリの計器飛行も出来る機体

ただ、飛行機材はそういうリース契約だが
内蔵する医療器械は病院の資産。
個々の医師に強いこだわりがあるので、一般化出来ないんだと。
使いやすいメーカーとか、癒着とか?(笑)あるんだろうなあ(嗤)。

整備入りする場合は代替機がまず運ばれてきて
病院横のハンガーで2機並べて積み替える。
積み替え作業は比較的すぐに出来るようにしてあるらしいが
具体的に何分で出来るかとかまでは聞けず。
登録番号だけ異なる(今回はJA818Hだったが)EC135が
ローテーションで実務とドックで回っているんだろう。
予備機運用の実態に関しては医療機関側では把握せず。
予備機を欠かさず手配する、という契約のみで実装はオペレータ次第。


ともあれ、
今出来ることっていうのを見ておくのには意味があると思うし、
今出来ることをやっている人の存在には並以上の尊厳はあろう。

大変興味深かったよ。

関係者各位、お疲れ様。
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