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2017年09月04日22:19

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ベートーヴェン ピアノソナタ第23番「熱情」

10月の音楽喫茶での演奏会では
ショパン「舟歌」とベートーヴェン「熱情」をメインに
プログラムを組んでみた。

舟歌はすでに取り上げたので、今回は熱情ソナタについて。

ピアニストの横山幸雄がベートーヴェンやショパンのピアノ曲の
公開レッスンをYouTubeにアップしていて
「熱情ソナタ」ももちろんアップされている。

ベートーヴェン:ピアノソナタ  第23番 ヘ短調 Op.57【前編】 |
https://www.youtube.com/watch?v=XOa_EA_K5Ic&t=529s

その中で、第1楽章のテンポについて、

「昔は各部分において、違うテンポを設定することが多かったが
いまは全体を、ほぼ同じテンポで演奏することが多いし
そのほうが緊張感が出てくる」

と、インテンポの重要性を口酸っぱく力説していた。

しかし、この曲を同じテンポで通して弾くと、
3連符のリズムのところが遅くなってしまうし、
16分音符のところは逆に速すぎて
メロディラインがくっきりと出せなくなる。
緊張感もイマイチ。

ところが、最近出た、エフゲニー・キーシンの演奏を聴いてビックリした。
この演奏はすごい。
第1楽章の冒頭を、かなり遅いテンポで弾き、
重苦しい雰囲気を醸し出す。
そのつぎの3連符の部分に入ると、さっとテンポを速める。
そして第2主題は再び、かなり遅いテンポでよく歌う。
そして第2主題のあとの経過句ではあまりテンポを速めず
メロディラインをくっきり出す。

キーシンの見事な演奏を前に、横山先生のレッスンでのアドバイスは
もろくも崩れ去ってしまうのである。
まあ、あれはあくまでアカデミズムの建前というべきだろうか。

さいきんの欧米の若手の演奏を聴くと
常識にとらわれず、自由な演奏を追求しているような傾向が
あるようだ。
日本の演奏家は、欧米に比べて、著しく遅れていると思う。

ただ、ソ連〜ロシアのピアニストによる「熱情ソナタ」の傾向は
どうもインテンポのようだ。
(リヒテル、ギレリス、アシュケナージ・・・)
そこにとどまらないキーシンは、すごいピアニストだと思う。

このCDは2枚組だが、「熱情」が飛び抜けた名演なので
ぜひ1枚もので出して欲しい。
7 6

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