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2017年08月13日10:12

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ジャンコ・パートナー

 
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 Bayou Maharajah [DVD]
 https://www.amazon.co.jp/Bayou-Maharajah-DVD-James-Booker/dp/B01HH5G36A
 Bayou Maharajah trailer (映画の予告編):
 https://www.youtube.com/watch?v=tV8zi0uwChk

 積読ならぬ積観していたこの映画のDVDを、やっとみた。
 はたち歳過ぎでヒット曲を出し、40代前半に急逝したニューオーリンズのピアニストの評伝もの。
 画像は、インタビューとかの部分以外は、レアなものもあるけどおむね低画質。 イメージ映像でつなぐという手法が多用されていて、ドキュメンタリー映画としては、そんなにすごいとはいえない。
 でも、作中でブッカーの演奏をたくさん聴いて、彼の「天才」がどういう性格のものだったのか、少しわかった気がする。

 そもそもが、「ニューオーリンズ・ピアノの伝統」といった枠に、収まりきる人じゃないんだよね。
 R&B、ラグタイム&ブルーズ、ジャズ、クラシックと何でも弾けて、しかもそれらが混然一体の、独創的な超絶テクに支えられた (ルービンシュタインが彼のプレイを聴いて驚愕し、「私はあんな風には絶対に弾けない。 少なくともあのようなテンポでは」といったという) ジェイムズ・ブッカースタイルになって、アドリブ的に溢れ出てくる。

 そう、ゲイで、アル中で、ヤク中で、偏執症で、スキゾ的で、でもってそういう難儀な人間を自ら演出しているところもあって。
 前から好きなピアノプレイヤーだったけど、この映画でJB (ジェイムズ・ブッカー) 教にすっかり折伏されたって感じ。 あの突拍子もないヴォーカルにさえ、彼独特のヒップで知的な繊細さを感じるようになってしまった。

 ちなみに、かのハンサムなニューオーリンズの弾き語り男、ハリー・コーニック・ジュニアって、ブッカーのピアノの弟子なんだよね。
 ブッカーがレッスンしたのは、たぶんハリーが小学最上級から中学くらいまでのころで、だから、純粋におじ・おいみたいな関係だったのだろう。  (ドクター・ジョンの自伝によれば、ブッカーをバンド・メンバーに入れてツアーすると、新人メンバーに音楽だけでなく別の教育もしようとして往生した、とのことだけど、ハリーの場合には、そういう気遣いはなかったはずだ。)
 ブッカーの葬儀で、棺を運び、埋葬のときに涙を流す若きハリーの映像を見て、コーニック父子とブッカーは (そもそもは弁護士である父のシニアがブッカーと知己だった)、肌の色をこえてほんとうに親しかったんだなと思った。

P.S.
 いくつか小ネタ。
 
 ジェイムズ・ブッカーは、元祖こまわり君だったんだよ。
 警官のコスチュームでステージをして、ニセ警官容疑で逮捕されたこともあるらしい。

 あと、彼が片目を失った経緯は謎らしい。
 相手ごとに、いろんな突拍子もない説明をしていて、リンゴ・スターに片目をくりぬかれたと真顔でいったりもしていたようだ (ブッカーは、リンゴのレコーディングで1曲伴奏している)。

 クラブで演奏しているときに、ピアノの前にお気に入りのタイプの男性が座っていた。 ブッカーは、右手で演奏し続けながら、左手でバッグから模様入りのアイパッチを次々に取り出してはつけ外しし、「どう、これのほうがいいかな、それともこっちのほうが魅力的?」とベーシストに意見を求めた。
 男心のいじらしさ。

 ストーンズが、ニューオーリーンズ公演の際に、係留された遊覧船の上でパーティを開くことにして、ブッカーにピアノ演奏を頼んだけど、「水が怖い」からと断ったとか、調子が悪いとき精神科へ相談に行くことを勧める友人に、「今日はパンツを履いてないから」行かないといったとか、その変人奇人ぶりを示すエピソードが、この映画には満載でした。
 字幕がないので、その2割がよくわからなくて、残念無念。
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