公式サイト →
http://hitler-hagaki-movie.com/
ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの文書記録を基に執筆した小説の映画化。実際にこういう話があったようだが、人物像などはほぼフィクション
ペンとカードでヒトラー政権に対する告発を続けた夫婦の物語。ヒトラー政権に対する批判をカードに書き、あちこちに置いていく。当然犯罪行為なので、警察の捜査の対象になるのだが、監視カメラがあるわけでもないので、捜査の網をすり抜けて批判文書を書き続ける。
もし自分が1933-45年にドイツ市民としてドイツで生活していたら何をやっていただろう?
目の前でユダヤ人が連行されようが、ナチス政権の独裁に歯止めがかからなかろうが、1市民として権力者には迎合せざるを得ない。家族がいれば家族に類が及ぶのを恐れて猶更自重せざるを得ない。
頭ではこんなこと間違っていると思っても、行動に移す勇気はない。
多分実際にその場にいて自分が正義のためにできることは、「積極的に何かをしない」ということだけになりそうだ。せめて自分が手を下さないとか、見逃すとか。こっそり手を差し伸べるとか。
この映画の中に出てくる人はそういう小市民で、誰もが今の世の中は何か違うと思いつつも大勢に流されて生きている。だけど、正義に対してはこっそり敬意を払うのだ。
派手さは無いが見ごたえのある佳作だった。
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