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2017年04月28日15:39

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カモメの羽(0061 MERCEDES BENZ ″GULLWING″)

伝説の俳優、石原裕次郎は1987年7月1日に52歳で亡くなりました。彼にまつわるモノは北海道・小樽の「石原裕次郎記念館」に展示されていますが、最も目を惹くのはメルセデス・ベンツ 300SLですね。通称「ガルウイング」というクーペです。これはヤナセが1953年に輸入したクルマで、裕次郎は2番目のオーナーだそうです。ガルウイングと言われるように、カモメが羽を開くようなドアが極めて特徴的です。
この裕次郎のガルウイング、標準型とはヘッドランプが違うんです。元々クーペのガルウイングは丸型のヘッドランプでしたが、後に販売されたロードスターの縦長のモノに変えられています。カッコイイ!
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メルセデス・ベンツ 300SLは1954年2月のニューヨーク・オートショーでデビューしました。ルドルフ・ウーレンハウトのデザインによる2座クーペのそのクルマは、特徴的なガルウイング・ドアでショーの話題をさらいましたが、パフォーマンスも傑出していました。
フロントに搭載された最大出力225馬力といわれる直列6気筒2996ccOHCエンジンは、おそらく世界初のフュエル・インジェクション(BOSCH製)を備えていました。キャブレターと違ってほとんどメンテナンス・フリーのこのエンジンを搭載したガルウイングの最高速度は安定して260km/h以上出せたとか。
シャシーは細い無数の鋼管を組んだスペースフレームで、フロントはダブル・ウイッシュボーン、リヤはスイング・アクスルの4輪独立サスペンションを備えていました。
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さて、300SLクーペのドアはどうしてガルウイングなのでしょう?フツーのドアでもいいように思いますけどね。実は鋼管を組んだスペースフレームのシャシーの強度を持たせるためにサイドシルがとても高いんです。大きく跨がなくてはならない。頭をブツケテしまうのでフツーのドアが付けられなかったんですね。それで頭の真上まで大きく開くドア、即ちあのガルウイングが開発されたというワケです。
ガルウイングで頭はクリアしたのですが、大きく跨いで乗り込む時、ステアリング・ホイールが邪魔になります。太ももにぶつかるんです。それでステアリング・ホイールが下ヒンジで前に倒れます。乗り降りする時にステアリングを前に倒しておくんですね。

クーペのガルウイングは1954〜56年に1400台ほど生産されましたが、翌1957年にはクーペからロードスターに置き換わりフツーのドアになりました。前述のヘッドランプはこの時に縦長のモノに代わったワケですね。
また、空気抵抗の増大により最高速度も225km/hに下がったと言われています。

メルセデス・ベンツ 300SL「ガルウイング」は、クラシックカーのイベントなどでその特徴的なドアを開けたまま流す姿をよく見ますね。このパフォーマンスは世界共通で、これがしたいがために1億円以上出して手に入れようとするアメリカの富豪が驚くほど多いとか。
だからレプリカが出回るんでしょうね。メルセデス・ベンツがそんなレプリカ業者を提訴しています。

ところで、メルセデス・ベンツ 300SLと言えば1955年のル・マン24時間耐久レースを思い起こします(正確にはレース用の300SLRですけど)。死者80数名と言われるこの史上最悪の事故は、フランス人ドライバーのピエール・ルヴェーの人生が投影されていてとても興味深いのですが、それはまたの機会に。
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