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2017年04月09日16:54

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「桜風堂(おうふうどう)ものがたり」(村山早紀 著)

 
困った・・・・。
大いに、困った。
また1冊、【本屋大賞】 の有力候補作が現れてしまった。

何しろ、382ページを3時間ほどで一気読みさせられたのだ。
高崎映画祭へ参加するため青春18きっぷで、まずは東京へ向かう電車の座席。
尻の痛さは本の面白さが忘れさせてくれたけど、込み上げる熱いものは、どうやって隠せばいいのか・・・・!?

良かった、花粉症対策のマスクをしていて。
涙を滲ませていても、そのせいだと思ってもらえるだろう。(こればっか 笑)

  【 田舎の小さな本屋さんと、街の老舗の書店で働く書店員たちが紡ぐ、
   ある小さな奇跡の物語。 】

作中、「四月の魚」 という本を書店員たちが一生懸命売ろうとする描写が出てくる。
本屋大賞の一次選考に投票した書店員たちも同じ気持ちから本書に票を投じたのだろう。

POP作りも、重要な販促活動の一つ。
私は、気に入った本や映画を応援することが好きなので、” 可能なら書店員になってこの本のPOPを作ってみたい!” と読みながら思ったし、文中で書店員たちの情熱の産物である 「四月の魚」 の力作POPを幾つも出されると、”実際に見てみたい・・・、映像化してほしい!”と願わずにはいられなかったのでした。
こんな見事な、素敵なPOPを目にしたなら、絶対その本を手に取ってみたくなるだろう。
買いたくなるだろう。
「四月の魚」 は架空の本なのに、読んでみたくてたまらなくなった!
スピンオフ作品として執筆し、ほんとに出版してくれないかな。

実際にあちこちの書店で、「桜風堂ものがたり」 を売るためのPOPが作られていることだろう。
「四月の魚」 のそれに負けないぐらい力の入った。
見たい! それらを全て。

昨年10月に公開された映画 「この世界の片隅に」 は、観た人の多くがSNSで褒め、薦めることにより大きく後押しして、30億円に迫る大ヒットとなっている。
「四月の魚」 も、SNSで一躍全国的に注目されるように。
「桜風堂ものがたり」 が出版されたのは 「この世界〜」 と同じ昨年10月のこと。
見事に先取りしていたことになる。

つらい描写も出てくるが、物語にとってのちょうど良いスパイスに・・・、スイカにふりかけるひとつまみの塩のような存在になっている。 終盤での感動につながる、しっかりとした布石にも。

そうか。
本書は、書店員や編集者たちに向けた、作者からの感謝の物語でもあるのだ。
書店員なら落涙必至だろう。


困った・・・・。
大いに、困った。
「蜜蜂と遠雷」、「暗幕のゲルニカ」、「罪の声」、そして本作。
11日(火)に発表される【本屋大賞】の予想で、どれを本命にすればいいんだ?!

どれが選ばれても、文句なし。
悩んでも納得する答えは出そうにないので、ここは素直に、本賞の主旨に沿った1冊を推すことにしよう。

本屋大賞に最もふさわしいのは――。

この 「桜風堂ものがたり」 ではないだろうか。
「蜜蜂と遠雷」 も 「暗幕のゲルニカ」 も 「罪の声」 も、既に多くの人に知られた本である。
けれど本書は、読書アンテナをあちこちに向けている私でも、本屋大賞にノミネートされるまでその存在を全く知らなかった本なのだ。
そして、多くの人に読んでもらいたくてたまらない ” いい本 ” なのである。
私が書店員なら、本書に投票するだろう。
書店員たちの”売りたい!”度も、最も高いのでは。

ノミネート作がこんなに傑作揃いだった年はないし、発表がこれほど楽しみな年もない。
裏切るなよ、本屋大賞!(笑)

 
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