トランプの中東への軍事介入のやり方に懸念も。

昨日のCNNツイートがトランプ政権になって以降中東での米軍による民間人の犠牲が急増している事実を伝えて懸念をあらわにしています。「ISISをこの地球上から抹殺してやる。アメリカ軍が再び勝利を上げることを願っている。」というトランプ大統領の発言を思えば当然の結果だろうが、大統領の中東での戦いは厳しい試練を迎えていると報じています。要点を訳してみました。
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３月17日にイラク第二の都市モスルで起きて100人を超す民間人が殺害された悲劇は、果たしてアメリカ主導の連合軍の空爆によるものか否か、アメリカ、イラク両国による検証が行われている。もしそうだとすれば、2014年から始まった連合軍のISIS掃討作戦が起こした最悪の市民殺戮となる。

だが、トランプ大統領に向けられている非難はモスル事件だけではない。
シリアで起こった民間人80人以上が犠牲になった事件も連合軍の空爆だと非難され検証が続いている。イエメンではトランプ大統領が承認した作戦で少なくとも23人の民間人とアメリカ海軍の秘密部隊SEALの隊員一名が犠牲になっている。

これら事件はトランプ政権が発足して僅か9週間の間に立て続けに起きている。
トランプ大統領就任以来、中東での戦闘でアメリカ軍の陸上部隊の増加が目立っている。
イエメンでの対テロ作戦では、トランプ政権になって以来、オバマ政権時代に決められた米軍の軍事行動に対する各種の制約が緩和されている。例えば大統領の事前承認なしに国防省が軍事行動を起こせる範囲が広がっているのだ。このルール変更はイエメンだけでなく、リビヤやソマリアなどにも適用されている。この規制緩和が軍内部のチェック機能をゆるめ、一般人の犠牲者の増加につながることも懸念されている。

現地で実際に何が起こっているのか見てみよう。

＜イラク＞モスル奪還を目指すアメリカ主導の連合軍とそれを迎い撃つISISとの間で激しい戦闘が繰り広げられているイラクのモスル西部の住宅街で3月17日に爆発があり、倒壊した家屋の中から112人の遺体が発見され、殆どが民間人とみられている。
当初、悲劇の原因は連合軍の空爆だとみられていたが、イラク軍の調査では原因はISISが仕掛けた車爆弾の仕業とされ、その後その車爆弾に連合軍の爆弾が命中して大惨事になったと言われるようになった。情報は錯綜していて調査が続けられている。

戦闘範囲が狭められてきて戦況が緊迫かしてくれば、ISIS撲滅という使命達成へのプレッシャーと、民間人の生命財産を守とらねばならぬというモラルとのバランスが急速に崩れて、前者が優先されるようになるのは当然の成り行きであろう。
現在連合軍はイラクのモスルとシリアのラッカの攻略に集中しており、トランプ政権は米軍の関与を強めているのが現状だ。

＜シリア＞シリアでも数十人の民間人が犠牲になったのは連合軍の空爆が原因だと言われており、米軍が調査中だ。
現地の報道によれば、3月16日のシリア北部のモスクへの連合軍の空爆で少なくとも40人の民間人が犠牲になったと伝えられている。
ガレキのなかから多くの遺体が運び出されている映像をたくさんのSNSが流しているにも拘わらず、国防省は何日もの間民間人の犠牲はなかったと言い続けた。
更に3月22日にはラッカからISISの手を逃れた市民が避難していた学校が空爆され数十人の犠牲者が出たと現地の活動家が報じている。
シリアにおける米軍の関与が強まっている傾向を示すものとして、今までで最も激しい空爆がラッカ近郊のISISの重要なダムを奪回するため先週行われたと伝えられている。

ヴォテル中東米軍司令官は先月NYタイムズ紙のインタビューに答えて、シリアへのアメリカ軍兵士の投入がもっと必要だと明言している。

＜イエメン＞イエメンにおける過激派テロに対する米軍の作戦は、トランプ政権の中東での苦悩の始まりである。大統領が直接承認した作戦で、女性や子どもを含む23人の民間人と海軍のSEALのメンバーが殺害され、83億円のヘリ一機が大破した。
ホワイトハウスは、作戦は成功しアラビア半島のアルカイダに関する重要な情報が得られたと発表しているが、専門家の間では、作戦は失敗でトランプ政権の民間人の命を無視する考えの兆候だと非難の声も上がっている。
共和党の上院軍事委員会議長のマケイン氏は「アメリカ人の命が失われた作戦を成功とは到底言えたものではない」と語っている。

イエメンにおける作戦や対テロ作戦遂行の権限を緩めるルールの変更に対しては、トランプ政権が他の地域へも同様の措置を講ずるのではないかとの懸念が高まっている。