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2017年02月26日17:22

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ヴィヴァルディ偏愛歴

その1
ピート・シンフィールドという、初期キングクリムゾンで
作詞を担当していた人のソロアルバムの「Still」を聴いていたら
「The Song Of Sea Goat」という曲が、どこかで聴いたことのある
メロディなのだが、なかなかその曲名が思い出せない。

ジャケットを見ると
The Song of the Sea Goat (music:Vivaldi, Pete Sinfield, Phil Jump)
とある。

それを見て、やっと思い出した。
ヴィヴァルディのリュート(ギター)協奏曲ニ長調だ。
この曲は名曲だ。
それにしても、この「The Song Of Sea Goat」はなかなか美しい。
ヴィヴァルディの原曲を自由にいじった感じだ。
The Song Of Sea Goat - Peter Sinfield
https://www.youtube.com/watch?v=d6M4IIMANko&list=PL94gOvpr5yt3otSfhm2eNDuokZLRG22_a

その2
京阪天満橋駅の構内で、演奏会の広告を見つけた。
場所は谷町4丁目の教会で、曲目はバロック音楽ばかりで
その中に、ヴィヴァルディの調和の幻想から
2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲Op.3-11があった。
この曲はヴィヴァルディの作品中、いちばん好きなものなので
行こうか、どうしようかと迷っているうちに忘れてしまい、、
思い出してから、思い切り後悔した。

その後悔を癒すべく、家でヴィヴァルディのLPやCDを
聴いたが、やはりヴィヴァルディはいいと思った。

子供の頃からヴァイオリンを習っていたので
ヴィヴァルディの音楽との付き合いは非常に長い。

「冬」の第2楽章や、「調和の幻想」より、イ短調Op3-6
(初心者が必ず弾く曲)といった曲を、飽きもせず
何回も繰り返し、演奏したものである。

サードポジションで
「ミーラーラーラーラーラードシラードシラードシラー」
という旋律を、いったい何回弾いたことだろう。

ヴィヴァルディのヴァイオリンパートは、そんなに
難しいというわけではなく、
シンプルでありながら、効果的というか
よく響くように作曲されている。
そこが面白いと思った。

当然、「四季」にもはまった。
この曲は現代楽器、古楽器、バロック風、現代的、等々
さまざまな可能性に満ちている。
10代の時に、すでに10種類を超えるLPを聴いていた。

20歳以降、ヴィヴァルディから少し離れた時期があったが、
その頃に五味康祐の「ヴィオラ・ダモーレ」という
エッセイを読んだ。

「たとえば、この(ヴィオラダモーレ)イ短調第2楽章、
ニ短調第2楽章(ともにラルゴ)には例えようもない哀愁が
流れているが、感傷性に堕さぬこの哀愁は、バルトークの
言葉を借りれば、
『本当にいいラルゴを書けるためには実際に
失望や、恍惚、悲哀を経験しなければならない』、
つまり
ヴィヴァルディ自身が言い知れぬ悲しみと、失望ともしかすれば
司祭の聖職にある身で戒律に背いた失恋を、体験したのでは
なかったか、そんなことも空想される。貧しい者に神の恵みを
祈るだけでは、たどり着きようのない深い哀愁がそのラルゴから
聞こえるからである」

これを読んで、自分の知らなかったヴィヴァルディの一面を
かいま見た気がした。

ヴィヴァルディの音楽は、現代楽器、古楽器を問わず
面白い演奏が多い。
有名でない作品が多い分、ガイドブックに載っていない
隠れた名曲があるというのも面白いと思う。

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コメント

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