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2017年01月08日02:02

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吉田元『江戸の酒』を読む

吉田元『江戸の酒』(岩波現代文庫・復刊)を読む。これは同氏の名著『日本の食と酒』(講談社学術文庫・復刊)の続編。『日本の食と酒』は人文書院刊行時に二回、学術文庫復刊時にも一回読んだ。名著だからなのだが、僕の頭に定着していないせいもあるw。

『江戸の酒』も、近世各地域における醸造技術の向上や造り酒屋経営の苦心、それに対する幕藩権力の対応をきめ細かく実証した名著である。

アルコール添加が悪いことばかりでないとの指摘(72頁)など目からウロコだし、最近の端麗辛口化・低アルコール化の流れという指摘(62頁)も納得。

「昔も今も酒は税金のかたまり」(134頁)という指摘には、強い憤りを持ちつつ、激しく同意せざるをえない。

しかし、精密な実証の結果も、ある意味、想定内の結論に収まる。そういう意味ではあまり新鮮味はない。ただ我が東北の酒が江戸時代、まずかったと言うのは意外だった(T_T)。

ところが、意外性という点ではさらに際立って面白かったのが第6章「外国人の見た日本酒」だ。幕末・明治に日本に来た外国人が日本酒をどう思ったのか。これも面白かった。

それに当時の日本人は基本的に燗酒を飲んだ。また日本酒はなんとバタビア(現オランダの西部)にまで輸出されていた。これも目からウロコだった。

科学者の目でみた日本酒の歴史。堪能させていただきました。
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