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2016年12月31日17:36

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トランプ大統領出現でイスラエルそしてアメリカの未来は?

CNNがツイッターに載せたDavid Andelman(World Policy Journalの元編集長で USA Todayのコラムニスト)の「アパルトヘイトに向かって滑落するイスラエルの危機」と題する論説は、知られざるトランプ・リスクの一面を明らかにしていて興味深いです。
明日から始まる新しい年が、彼が警告するような危うい年にならないことを祈り、ちょっと長いですが要点をまとめて訳してみました。ご参考まで。
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イスラエル、ひいてはアメリカ合衆国も含めて、いま危険な方向へ延びる道の入り口に立っている。
中東の民主主義国家の見本であったイスラエルが、アパルトヘイトの悪夢にうなされたかつての南アフリカのような世界の厄介者になりはてるリスクに直面している。

長年のアラブとの外交努力を無にして、イスラエルが再び「一国主義」政策に立ち戻ろうとしている。ネタニヤフ連立政権の中の極右の民族主義者たちが、トランプ大統領の誕生と新たに任命される駐イスラエル大使の出現で、かれらの長年の主張が実現できる絶好のチャンス到来とらえているからだ。

もし彼らの野望が現実のものとなれば、パレスチナの人々は全てイスラエル人の奴隷と化し、近い将来、少数派のイスラル人が多数のパレスチナ人を支配し抑圧することになる。

この新たなるイスラエルにはアメリカ以外に友人も支援者もいなくなる。その結果アメリカ政府は同じように世界の世論から孤立し格下げされるだろう。

これがトランプ次期大統領が描いてみせた戦略の結果アメリカが背負わされる役割なのだ。
彼がイスラエル大使に指名したデビッド・フリードマンは、彼の長年の親友で破産管財人、そして長年に亘り「イスラエルによる一国政策」を主張しその実現のための募金活動までやってきた人物だ。
この新任大使の出現で、現在既にネタニヤフ政権をコントロールしているやに見える極右派の連中を、劇的に勢いつけるにちがいない。

オバマ大統領誕生の際にはこうはならなかった。オバマ大統領就任の3カ月後の2009年6月14日にカイロ大学でネタニヤフが行った画期的と言われたテレビ演説では、彼はパレスチナを独立国家とする「二国主議」を高々と掲げたのだ。


以来8年間、イスラエルは世界に冠たる技術革新の国としての確固たる地位を守ってきた。独裁主義と原理主義の国々に囲まれた、いわば民主主義の砦でもあった。
今やイスラエルには250を超える多国籍企業の研究所があり、その多くはIBM, アップル、インテル、グーグル、Facebook,シスコやヒューパーなどアメリカの代表的企業たちである。

もしイスラエルが一国主義を実現することになれば、広大なパレスチナ人の土地を支配し、そこに居住するパレスチナ人たちの公民権を剥奪することになり、ユダヤ人たちはその中で突然自分たちが少数民族になっていることに気づく。

ケリー国務長官は「もし一国主義を通すなら、ユダヤ人国家か民主主義国家かのどちらかを選ばねばならない。両方を選ぶことは出来ない。そして平和な日々はなくなるだろう。」と語っているが、かれは少数派のユダヤ人が、遥かに多い人口を抱えて一層反発と不満を爆発させる抑圧された多数派のパレスチナ人を統治することの悪夢についてまでは語っていない。そして、アメリカを除く世界各国はだれも味方しないであろう。

特権階級の白人少数派が多数派の黒人を暴力で抑え付けようとした南アのアパルトヘイトの結末を、ここで思い起こすことになる。
世界中で巻き起こった経済制裁と不買運動、そして南アと取引のある企業の株が売られる事態になり、かつてはアフリカ一の豊かな国であった南アが次第に首を絞められていった現実を思い出す。

現在イスラエルに投資しているアメリカ企業のリストが浮かび上がってくる。かれらもボイコットや経済制裁の恐ろしさを実感することになろう。そしてかれらがイスラエルから離れて行った結果は明らかだ。

やがてパレスチナ人のネルソン・マンデラが出現し、ユダヤ人はかれを投獄するだろう。マンデラ氏が初めて合衆国を訪れた際に、彼のスピーチ・ライターを勤めたことがあるが、かれは「南アでアパルトヘイトを終わらせたのはわたしの投獄生活の苦しみが大きな役割を演じた。」と語っていた。

全世界のブラックリストに乗ったイスラエルは、中東問題全般にわたって非常に危険な存在になるだろう。
アメリカは既に、ロシアとトルコが主導するシリア停戦和平工作には出来るだけ関わらないようにしている。
アパルトヘイト状態のイスラエルは、中東地域の長期的な安定維持の責務をロシアに負わせることになろう。いつまでも続くピースメーカーの役割になるだろう。

一方アメリカの立場を顧みるに、そこには、中東地域では世界的に排斥された友人が一人だけ残ったアメリカの姿がある。

最近の国連安保理の決議では、イスラエルの領土と1967年以降にイスラエルが占領している地域とを明確に区別せねばならない、と加盟各国に求めているが、これはネタニヤフにとっては、世界的なボイコットや経済制裁の恐怖を連想させるだろう。

結局トランプは合衆国を危険な道に引きずり込む結果となろう。彼が描いた中東和平での仲介役とは程遠いものだ。

現在、イスラエルのリベラル派の多くは、一国主義は実現不可能な夢だと正し認識をもっている。
アメリカ合衆国も同様に正しい認識をもって中東を破滅の淵から引き戻す努力をすべきである。

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