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2016年12月08日01:23

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今頃SEEDのヒット主人公考

昨日、ラクス・クラインとミーア・キャンベルの画を得るべく
古い録画を引っ張り出してきたら、
なんとなくその後、間の話が気になって見始めてしまって、
DESTINY の冒頭、ミーアが登場するまでの8話と
ミーアが殺害された後の結末3話を残した39話分を
約17時間かけて一気に見てしまった。

あー、眠い。。。(笑)


今、見返すと、やはり12年前のシナリオの稚拙さや
ディジタル作画の未熟さが目につく。

#これがサンライズ初のディジタル制作らしい。

加えて言うなら、
DESTINYは特にバンクが多用されているのが嫌。
グッズ販売用に必要だという都合だろうが、
発進シーケンスはまだしも、
インパルスの合体後にとるポーズなんか、寒すぎてねえ(嗤)。

やり過ぎ感も散見されて、
例えば、ミネルバがオーブを出て待ち伏せしていた連邦軍艦隊に会敵する際の
シンのSEEDの目覚めのシーン。
エネルギーゲージが切れて、フェイズシフト防御も解除されているやん。
なのに、スラスターが蘇って、、、みたいな理不尽の持ち込みは
もっと極めつけの場面ならまだ許容するけどさあ。
転じた無敵っぷりも、前後バランスが悪過ぎ。
後述するキラの無敵っぷりはもっと通してのものがあるのに、
シンのこのシーンは明らかにやり過ぎ。

、、、と、のっけからディスったのだが、
その辺をちゃんと割り引けば良く出来ていると思う作品だ。


当然

「機動戦士ガンダム」

を接頭辞に使う作品なので、
そういう下駄履きがあってのヒットもあったのだろうが、
細かい設定は多数流用しながらも
いわゆる「宇宙世紀」シリーズとは全く違う背景設定をベースに
接点なしで新展開した割にはウケたものだ。

当然、メカデザインに一定の一貫性があれば
関連グッズ(モデル系とか)が逆に本編の視聴を支えてくれるところもあるが、
わたし個人的には、この作品

「典型的な(わかりやすい)主人公をまつり上げた」

ことがおおきな成功要因だったと感じる。

言わずもがなのキラ・ヤマトとラクス・クラインのペアのことであり、
最初のSEEDの前半で
キラはないものねだりから離れられないお子さま、
ラクスは世間知らずのお嬢さまだったところから
後半にはキラに完全無敵化を施し、
ラクスには崇拝対照としての象徴的存在を与えて、
宇宙世紀シリーズでは完全に踏み込めなかった王道アニメのエキスを
盛り込んでしまったのが逆に成功の主要因だったように思う。

但し、
キラもラクスも、大衆ウケする正義感をアピールしてはいるものの、
実は「大衆ウケ」であって、
劇中の理不尽に成り行きから逃れられすに落ち込んでしまった人々の
状況や都合に関しては一切の考慮を与えていない。

最近で妙にいい例がトランプ大統領候補の当確獲得のようなものだろうかね。

※トランプ氏はまだ大統領確定ではないよ。
 選挙人は年始の本投票で造反できるから。

なので、実は深掘りはされていて、噛みごたえはある作品なのである。


DESTINY では特にラクスやキラが
表向きは理想を掲げていながらも、
その行動は極めて自分たちの主観を具現化する現実主義でに
位置づけられているかがよく見える。

例えば、オーブでラクスがザフトの暗殺部隊に襲われた際。

ラクスはキラをまたフリーダムに乗せることを躊躇し
すんなりとバルトフェルドに格納庫の鍵を渡さない。

この時点でのラクスは俯瞰的な世間の平穏などより
目の前にいる自身の恋人の身を最優先にした思考を行っているわけ。

それは劇中の民衆がラクスに見る偶像とは明らかに一致しない。

でも、余計にラクスの人間的なリアリティは増すわけで、
実は作品に安定感を与えることになっているのかもしれないし、
ちゃんと受け皿に替え玉影武者のミーア・キャンベルを用意して
そこがまたよくある政治的戦術のリアリティに使える、と。

アークエンジェルに隠れている時に
報道で自身を演じるミーアを見ながら
ビミョウに皮肉っぽい言い回しをしていながらも
ラクスはさほど苦々しい思いをしていたとも思えなさそうで(笑)。

創作だからこそ、うまく組み立てたと評価すべきだ。


キラにしても、最後にデュランダルに相まみえる場の言論では
つまるところ、自分たちの価値観でしか反論していない。
デュランダルには一応の客観的論理がある。
喩えそれまでのことの運び方がズルかったとしてもね。

わたしは個人的にはデュランダルのデスティニープランにも
一定の理想はあると理解を得ることが出来る部分があると思うが、
この超管理思想は、
他の多くの創作(実写/アニメ問わず)で悪役の象徴に立てられることが多いので、
既に成立している先入観から本質的な是非を考える隙を視聴者に与えずに
安易に善者/悪者のポジショニングを済ませてしまっている。

元作の無印SEEDでも、真に「正義とは」を思慮するには
ナタルと、ナタルが指揮したドミニオンの行動の方が
本質的であるべきだろうが、
超現実主義で一定の達観キャラが与えられているマリューが常に
「正義の象徴」側に鎮座し続ける。

わたしはマリュー・ラミアスやキラ/ラクス側の立場に近く、
一定の理想論は自我の維持のためにこそ維持すれど、
実際はやはり自分たちがあってこその保身的な要素を第一に考える
良い子ちゃん風俗物なので、
この人物配置を悪いとも思わないのだが、
だからといって、客観的にキラ/ラクス側が単純に正義側に祀られているのにも
違和感はあるのだ。

この違和感部分こそが、実は世間での心地よさそのものであり、
だから、SEEDは宇宙世紀モノでないにもかかわらず
初回放送で一定の視聴率を集め、
本来は制作側は掘り下げたかったのだろう
登場人物の立場の違いのややこしさを逆に単純化して捉えることができてしまって
気兼ねなく変なキャラ萌えに走れるファン層を生み出したり(アスラン・ザラを中心に)
無敵の強さを誇るフリーダムに容易に憧れを集めることが出来てしまったり。
本来、あんなゲームバランスの悪いメカの登場こそ
我儘放題というか有無を言わせない身勝手さの象徴なのにね。

※フリーダムに対しては、
 ジャスティスでさえ半ランク下のポジションを与えているように見えたからね。

ただ、そういう流れやすい方向に流されることなく
覚めた目で全体を俯瞰したら、
キラ/ラクス側というか、アークエンジェル側というかは
この2作を通して現実的な落とし所を常に求める
どっちかというと本質的な問題から目を背けて先送りする派に過ぎず、
初作ではフレイやナタルを含めて、
2作通じては

アスラン・ザラ

の全編通じて常に悩み続ける立場の描写こそが
正義を考える極地側に立つ真の主人公キャラであろう。


因みに、DESTINYでのアークエンジェル内でのキラの立ち位置も
アークエンジエルグループの異様な現実主義志向を表している。
なんといっても、せいぜい尉官レベルのキラが
特定の担当を受け持たない癖に当たり前にブリッジに立ち入っている。

あのラクス・クラインでさえ、通信担当を受け持っているし、
最先任士官であろうバルトフェルドも砲雷担当をしているのに、
キラは立って意見するだけの、まるで「提督」だよね。
現実評価でキラの実績を重視できるのこそ現実主義の最たる描写だ。

作戦も、
最低限佐官クラスであるマリュー・ラミアス
(普通、アークエンジェルのような大型戦闘艦の艦長クラスは少佐以上)
やアンドリュー・バルトフェルドの発言を平気で遮って対案を口にする、とか。
軍隊じゃなくてせいぜい家庭内会議だよね(笑)。

カガリが結婚式からさらわれた後に将官服を着ているが
それをも頭を押さえてしまう尉官って、普通はねえ。
宇宙世紀シリーズのガンダムものでは間違いなく粛清される出来事だわな(笑)。

※後々、キラはオーブで准将には任官されるが。


それでもうまく出来ているのは、
絶対強として置いたフリーダムも、対策戦術が練られるリアrティを導入し
ついにはシンに落とされる武器の姿の常を外さないようにしていたり、
4クール通年作である強みを使って、
最終的に絶対強にはなっても、それまでのヘタレ様相を描いて
「成長したから強くなった」感の演出も忘れていない。

キラは能力上は最初から無敵感を演出していたけどね。
だって、起動稼働中のシステムのOSを、
起動させながら書き換えてバージョンアップする訳だよね?
ノイマン型の概念で居る限りだが、
書き換えソースをコンパイルしてロードモジュールにするまでは
当然旧モジュールで動いているだけだとしても、
プロセスをkillして再起動したら中間データ的なものは失われるわけだが、
それでも稼働を維持できるモジュールの書き方が出来るということだし。
ああ、でも、カーネルだったらどうするんだ?
一度シャットダウンで再起動中はモビルスーツが動かない、、、てな。
何よりもバグを一切出さないコーディングが神業以外の何物でもない(笑)。


キラはラクスのおかげで超ポジティブ転換したキャラになれたが、
これがネガティブ転換していたら
最も近い存在はカミーユ・ビダンだったんじゃないかなあ。
カミーユも天才的なハード設計能力でゼータを独自開発するし。

ポジ/ネガ対局なだけに結末も陰陽対極的で
カミーユは最たるバッドエンド主役(最後は精神が逝ってしまう)だしねえ。

※ラクスに相当するベッタリさんがファ・ユイリィか。

キラの方はねえ、結局ラクスがべったりだったよねえ。
シリーズ50話の更に後日談を描いた Final Plus の最後も
キラの腕に絡みついて石碑の丘から去るシーンだったような。

ラクスは
自身と劇中世間が持つ「平和の女神さまイメージ」との乖離を
どう思っていることになってるんだろう?(笑)


そう言えば Final Plus の最後のシーンから、
ホーク姉妹が最も漁夫の利を得た成功者のような(苦笑)。

メイリンはあの逃避行のシャワーシーンで庇ったことからスルスルと
カガリと切れたアスランをゲットしたわけだし、
ルナマリアも一瞬アスラン狙い的な浮気性だったが
結局、ステラ失い以降ますますウジウジ傷心のシンとも
うまくまとまった的に描かれていたからねえ。

貧乏くじは、カガリとか、ミリアリア、、、だねえ(泣)。
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