mixiユーザー(id:280973)

2016年11月27日08:31

353 view

『聖の青春』


 かつてテレビドラマ版で藤原竜也(当時18歳)が演じた役を、同じ事務所の盟友ともいうべき松山ケンイチ(撮影時30歳)が演じる。当たり前だけど全然違う(笑)。2001年新春にTBS系(中国放送・テレビマンユニオン制作)でスペシャルドラマ『聖の青春』が放送された時、松ケンはまだデビューどころか上京して役者になるなど考えもしていない。この年、彼は母親に促されてタレントオーディションに応募、やる気もないのにグランプリを獲ることになる。

 29歳で病死する村山聖を18歳の少年に演じさせたのは無謀にも思えるが、テレビマンユニオンの萩元プロデューサー(これが遺作となった)や脚本(共同)・演出の今野勉が竜也をキャスティングしたのは蜷川幸雄と深作欣二という稀代の鬼才に育てられた早熟の天才役者に演らせてみたかったからに違いない。脚本が先にあったのか竜也に合わせたのか、テレビドラマ版は村山が森信雄という師匠に奇跡的に巡り合い、病身で我がままな村山を森が献身的に支えプロ棋士としてデビューさせ独り立ちさせていくまでを中心に描いている。竜也はいつ尽きるかもしれない命を将棋に賭けて生きる少年を熱演し、師匠・森役の小林稔侍がサポート。弟子の訃報に広島に駆けつけた森が童顔(当たり前だ)の弟子に語りかける場面は涙なくしては見られない。

 このテレビドラマ、ソフト化されることもなく、永らく顧みられることも少なかったが、映画版の公開に合わせてようやく最近CS(TBSチャンネル)で放送されている。

 『聖の青春』の映画化企画はかなり以前からあったというが、昨今の将棋ブーム(というのも変だが)が働いて実現したのか。原作を読んでいた松ケンは自ら出演を望んだ。役作りに苦労することは承知の上で。彼がリアルタイムで竜也のドラマを視たとは思えない。視ていたら少なからず意識したかどうか。

 意図的なのか期せずしてなのか、向井康介がシナリオを書いた映画版は病身を押して上京しライバル羽生善治(東出昌大が好演しすぎ)に立ち向かっていき、やがて将棋に殉じるようにこの世を去るまでを描いており、テレビドラマ版と対(つい)になっている。森役はリリー・フランキーだが、出過ぎなこの男もこれぐらいの出番量ならよかたい(笑)。説明不足だという意見もあるが、それぐらい観る側が勉強せいよ。

 監督の森義隆はこれが3作目。荒削りな演出だけど同時に手堅い。この人、実はテレビマンユニオンに数年在籍している。もともと演劇→自主映画をやっていたが、テレビドラマ版が制作・放送された後で入社しテレビドキュメンタリーのADで鍛えられたという。ブラウン管(死語だな)越しだと伝わらないと感じ仲間と作り上げたのが『ひゃくはち』だった。『宇宙兄弟』もそうだが、元野球少年だったせいか、一貫して青春像を追っている感じがある(潰れた企画もあるようだから、それもたまたまなのかもしれないけど)。



 それはさておき

 今更ながら「RIKIプロジェクト」って何やねんと思っている私。
(いや、間違いなく竹内力が映画の制作者として積極的に活動しているという記事は読んだことがあって、忘れていただけなんだけど(^^ゞ)


1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年11月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   

最近の日記

もっと見る