今シーズン最初の作品は飯守監督の指環チクルス第2弾ヴァルキューレ
平日マチネのセットを購入しておりますので、本日横須賀線〜東横線〜
井の頭線〜京王新線と乗り継いで初台まで行って参りました
新国立劇場公演は、字幕も公演パンフも、登場人物の名前などはすべて
ヴァ行で統一されているのに（ヴォータンもワルキューレたちのうち4人も、
ヴァルハルもヴェルズンクも）どういうわけか作曲者名とタイトルだけがワです
（不統一という事で統一されている）
既に初日から日数が経っているので、ネット上に観劇評が載っておりますが
いずれも歌手を絶賛しています、そして本日のワタシも以下同文ですね
こんなにキャストが粒ぞろい（いい方にです）という公演も珍しい
オーディオ的にしょぼいヴァーグナーは目も（耳もかな？）当てられませんからね
飯守監督の指揮も、演奏予定時間ぴったりで、これも特筆に値する
東フィルは…第二幕4場でブリュンヒルデが登場するところのトランペットが
コケました（一番緊張感のあるところなのにね）
東条さんの初日評によると、第一幕のノートゥンクのテーマが出落ちしたらしい
同じトランペット奏者だとしたら、鉄ゲタ・うさぎ跳びでグランド３周ものですな
衣装は東条さんの仰る通りで、幕が開いてのジークリンデは、原作にはない
家政婦が黙役でいるのかと思ったくらい
でもヴォータンはカッコ良かったし、フリッカも気位の高い夫人という感じで
悪くないので、問題は歌手のスタイル（体型）にあるのかもしれません
第三幕で戦士たちの死体が（パンイチで）並んでますが、これはスマートで
スタイル良すぎ、もうちょっと格闘技系マッチョだったら良かったのに
新国のバレエ団員だったのでしょうか、当然のことながら配役表に名前は
ありませんでしたけど、もしかしたら第一幕のフンディングの手下の男たち
（黙役）を演じた役者（舞踊手？）が終幕でパンイチにされちゃったのかな
事前学習はベーム/バイロイトのライヴをリブレットを読みながら一通り
それとスカパーで放映された「リングの世界」という解説映像で、ピアニスト
シュテファン・ミキシュ氏が達者なピアノで細かくライトモチーフを説明して
くれるものを観て（聴いて）頭に入れました
そんなわけで、休憩を入れて５時間２５分の長丁場を乗り切りました
やはりこれは家庭劇と捉えるのが妥当なのでしょうかね（夫婦の諍い、
娘の反抗と父親の慈愛…ジークムントに対しても）
近親相姦が出てくるのが抵抗のあるところですが、そもそも近親相姦が
忌避されるのは劣性遺伝を強めて子孫繁栄に差しさわりがあるところからの
「道徳観」でしょうから、神様に劣性遺伝子などないのだとすれば、別に構わ
ないということなのですかね（現に英雄ジークフリートが生まれた）
先日のイプセン作「幽霊」では、息子が思いを寄せる小間使いが実は父親の
落胤（異母兄妹）ということが判明して家庭崩壊の一因となる、という筋書き
でしたので対照的ですね
結婚を司る女神であるフリッカが拘るのは、道徳観というよりは夫の
不倫が気に入らないからということ（単なる嫉妬）かもしれません
ヴァーグナーはフリッカをイヤな女に仕立てて、自分の不倫を正当化しようと
したのではあるまいか（うがった見方だなぁ）
可笑しかったのはフンディングが部屋の明かりを消すのにリモコンを使って
いたことで、この「現代読み替え」はどういう意図があるんでしょうね
それから、ヴォータンが木馬に乗るシーンは「世界征服は児戯に等しい」の
暗喩でしょうか（鵜山君演出のリチャード3世を連想しました）
いずれにしても、ジークムントのモノローグは美しく、それにもましてヴォータン
の告別から魔の炎の音楽に至るまではヴァーグナーの毒が満載で、痺れます
ここは美術（照明）も良かった
東条さんも書いておられたけど、ブリュンヒルデを包み込む緑の円錐形は
レーザー光線によるものなのでしょうか、その中に煙が充満しているのは
どういう仕掛けなのか（プロジェクションを使っているのかな）
初日はブーイングも出たらしいけれど、平日マチネにはそういうスノッブな
オペラ通がいないせいか、カーテンコールはBravo一色でした（飯守監督にまで）
ワタシの左隣の男性はジークムント役のステファン・グールド氏に対して
「ヴンダバー」と声掛けしていました（ハイドン�兇気鵑任呂△蠅泙擦鵝�
シーズンオープニング演目という事で、いつものように入り口にはウェルカム・
フラワーが飾られていました（草月流四代目家元勅使河原茜さん作）
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